ホーム | ブラジル国内ニュース | 《サンパウロ州》市長が警告「変異株なめるな!」=感染急増で医療逼迫、若者入院増=カーニバル3密の結果が今後出る?

《サンパウロ州》市長が警告「変異株なめるな!」=感染急増で医療逼迫、若者入院増=カーニバル3密の結果が今後出る?

ロックダウンで人気が失せたアララクアラ市(Divulgacao/Prefeitura de Araraquara)

 【既報関連】感染力の強い変異株ウイルスによる感染拡大を確認し、14日にロックダウン採用を決めたサンパウロ州アララクアラ市の市長が、テレビのインタビューで21年の新型コロナ対策は20年よりも難しくなるとの見解を示した。
 同市でのロックダウンは、同市での感染急拡大がマナウス型と英国型の変異株ウイルスによるものである事が確認されたためだ。
 同市市長はロックダウンに至った理由を問われ、「感染者が従来のペース以上の速さで増えて医療体制が逼迫し始めた。その上、昨年は高齢者や肥満者などの高リスクの患者が大半だったのに、最近はリスク要因を持たない健康な若者の入院が増えている事に気づき、サンパウロ総合大学の熱帯医学研究所にサンプルを送った結果、変異株による感染が確認されたため」と答えた。
 英国で100万人を対象に行った調査では、検査で陽性と診断された人の6割は、診断前の1週間、何も症状がなかったという結果が出ている。また、サンパウロ市で20年7月に行われた調査では感染が確認された人の4割は無症状の感染者だったなど、健康と思われている人が他者にウイルスをまき散らしている可能性は高い。これに感染力の強い変異株の影響が加われば、感染拡大が早まる。
 最初に変異種発見と報告した英国では、従来は感染しにくく、重症化もしにくいとされていた子供への感染や重症化が心配されていたが、2月にはコロナに感染した子供が複数の症状を呈して入院する例が毎週100件以上報告されているとの報告があった。

 ブラジルでは子供への変異株感染例や研究例はほぼ皆無だが、対面授業再開後のサンパウロ州での子供の感染例増加や、最近の幼小児死亡例なども調査が必要だ。
 アララクアラ市長は近隣諸市でも変異株による感染急増に対する警戒態勢を敷いていると語ると共に、パシェコ市やアクレ州、パラー州などでの医療崩壊も変異株による感染急増と関連があると見て警告を発した。
 15日現在で医療崩壊が起きた、または起きかけている自治体には、臨時病院の集中治療室(UTI)が満杯となったゴイアス州ゴイアニア市や、臨時病院のUTIが88%埋まったバイア州フェイラ・デ・サンタナ市なども含まれる。バイア州では九つの病院でUTIや一般病棟の占有率が100%に達している。
 リオ・グランデ・ド・ノルテ州ナタル市は19日までにUTI10床を増設と発表。同市とその周辺諸市の病床占有率はほぼ90%だ。
 マナウス型の患者は10州で確認済みだが、16日には死者数が全国一のリオ市でもマナウス型の変異株の市中感染が確認され、市中感染確認州がサンパウロ、パラー、ロライマ、セアラー、リオの5州に増えた。
 だが、英国型や南アフリカ型、マナウス型による感染者確認後も、ブラジルでの変異株に関する検査は拡大していない上に、カーニバルによる3密発生などで感染拡大が加速化する可能性が増幅。医療崩壊発生州や崩壊間近の州での3密発生はなおの事、懸念されている。