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《ブラジル》大統領がペトロブラス総裁解任=市場猛反発で株価20%大暴落

22日に大暴落したペトロブラス株

 ボルソナロ大統領は19日、ペトロブラスのカステロ・ブランコ総裁を突如更迭し、陸軍大将(予備役)のジョアキン・シウヴァ・エ・ルナ氏を指名した。ブラジル最大の企業である同石油公社の運営方針に、政府が一方的に介入する形で行われたこの交代劇は、ペトロブラス内部だけでなく、国際市場も強い反発を示すほどの大きな波紋を呼んでいる。19~22日付現地紙、サイトが報じている。
 この交代劇の直接的な理由は、18日にペトロブラスが発表したガソリンとディーゼル油の値上げだ。この日の発表で、ディーゼル油の価格は1リットルにつき2・48レアルから、史上最高値の2・58レアルへと上がった。製油所からのガソリンの卸値は、国際価格に連動して年初からだけで30%も上がっていた。
 これをボルソナロ氏は強く嫌った。それは、大統領の支持層の一つで、かねてからスト実施を示唆しているトラック業界の不満を買うことが確実だったためだ。大統領は直後にディーゼルにかかる連邦税を2カ月間、ゼロにすると発表した。
 2018年に起こったトラック・デモは長期化し、その年のGDP成長にブレーキをかけた。
 だが、ブランコ総裁は「トラック・ストはペトロブラス側の問題ではない」と発言し、ボルソナロ氏を怒らせた。

 この突然の解任に対し、ペトロブラス側は声明を発表。「ブランコ総裁ならびに経営審議会のメンバーの任期は3月20日まで有効だ」として反旗を掲げた。

ジョアキン・シウヴァ・エ・ルナ氏(Marcelo Camargo)

 ルナ氏の承認には経営審議会の承認が必要で、一部の報道によると経営審議会のメンバーは総辞任も辞さない構えだという。
 ルナ氏は、パラグアイとの共同公社であるイタイプ・ダム運営公社の総裁をつとめており、テメル政権では国防相の経験を持つなどの実績はある。だが以前、「公社国有化に関する意見は特にない」と発言するなど、経済省の意向とは異なる言動を行っている。
 今回のボルソナロ大統領の判断は、市場で強い反発を招いている。19日のサンパウロ証券取引市場では、ペトロブラスの株価が0・64%下落。週が明けた22日は17時38分現在でさらに約20%下がるなど大暴落となった。
 ペトロブラスの独立性はブラジルでは何年も議論されてきたことで、ゲデス経済相にとっても、総裁人事は頭越しかつ突然の発表だった。18、19日は経済問題に関する同相の立場を懸念させる出来事が繰り返されており、市場関係者は一連の出来事はゲデス経済相の敗北を意味すると見ている。同相は、ガスとディーゼル油の連邦税免税分の補完方法でも頭を悩ませている。