サンパウロ州立カンピーナス大学(ウニカンピ)と米国のテキサス大学が行った調査により、社会隔離の厳しさと市の経済状態悪化には相関関係はなく、隔離基準が厳しいと経済が落ち込む訳ではない事が分かったと19日G1サイトなどが報じた。
ウニカンピ経済研究所調査員で経済理論専門のルイス・グスターヴォ・セレーノ氏によると、同調査はサンパウロ州104市の20年3~6月の商品流通サービス税(ICMS)徴収額と経済省発表の雇用に関するデータを基に行われ、17日付の定期刊行物『Plos One』に掲載された。当時のサンパウロ州の新型コロナ感染者の91%はこれら104市に在住していた。
同調査によると、ICMSの徴収額は全市で減少したが、社会隔離が厳しかった市と隔離基準が緩かった市を比べても、隔離基準の厳格さと徴税額や雇用との間には相関関係はなかったという。
他方、社会隔離の度合いが1%高まると、死者は平均で215人少なくなるなど、感染者数や死者数では明確な差があったという。調査結果はグループ単位で報告されており、各市毎の社会隔離の有効性などには言及していない。
調査では貧困家庭の割合なども考慮した。貧困家庭は月収255レアル以下とされ、水道が引かれているか、1寝室あたりの居住者数が2人以上か、家計を支えている人が65歳以上か、高齢者はどの位いるかといったデータも参照している。
上水道の有無は社会衛生上の脆弱さ、1寝室あたりの居住者数は社会隔離の困難さを示す。家計を支えている人が65歳以上の家庭は、同居者が失業中などの理由で経済力がなく、高齢者の労働収入や年金が世帯収入の中心である事を示す。
調査では、社会隔離は地域単位で行った方が効果的である事も判明。ウニカンピのアレッシャンドレ・ゴリ・デ・マイア教授によると、近隣諸市で感染が拡大していると社会隔離の効果は薄れるという。
同調査は国家科学技術開発審議会(CNPq)と保健省のプロジェクトの一部で、今後は全国の市のデータを解析する。