新型コロナの感染拡大と経済活動停滞の中、生活が不安定になった人々の救済のために昨年4月に導入された緊急支援金は、低所得者層の食生活にも変化を生じさせていた事が分かった。感染再燃で再開の必要が叫ばれていた緊急支援金の支給額は、平均250レアルとゲデス経済相が語ったと7、8日付現地紙、サイトが報じた。
新型コロナの感染拡大による失業者増加や経済活動停滞の影響は、緊急支援金の支給によってかなりカバーされた。
仕事がなく、収入の道も断たれたために食にも窮する状態に追い込まれた人々は、緊急支援金の支給で一息ついた。この点は、生活扶助(ボルサ・ファミリア)の受給者も同様で、パンデミック前より購買力が増した人もいた。緊急支援金で負債を返したり、従来の収入では手が付けられなかった家の改修などを行う人も出た。
これらの動きは、パンデミックによる原材料不足や生産活動停滞による建築資材の高騰やインフレも招いた。中でも、9月以降の緊急支援金半減で慌てた人々が買い急いだりした事で生じた食料品価格の上昇は、低所得者層の懐を圧迫した。
だが、緊急支援金の支給が、一時的ではあってもD、Eクラスの人達の購買力を向上させた事や健康志向などの理由で、従来は高値の花だった品物を利用するようになった事が明らかになった。
D、Eクラスで消費が増えたものの一つは、プレズント、アプレズンタードなどのハム類だ。ハム類を買う家庭は850万世帯増えた。
以下、オリーブ油740万世帯、パン粉を付けて揚げるばかりにしたナゲット類620万世帯、ケチャップ620万世帯などと続く。バターやマヨネーズ、リングイッサやハンバーグなどの加工食品の消費も増えた。
Kantar社の調査によると、家庭内で消費する食品や飲料を量で見ると、前年比で4%増えたという。特に、世帯収入が月額2600レアル未満で緊急支援金の恩恵が大きかったD、Eクラスでは、支援金の25%を食費に充てたという。
ただ、世帯収入が少ない家庭は食費や電気代などの生活必需支出が占める割合が大きいため、食料品の価格上昇の影響も富裕層より大きい。昨年2月と今年の2月で見た場合、ご飯とフェイジョン、肉、サラダという定食メニューは、富裕層が食べる定食は31・6%、低所得者層の食べる定食は38・3%値上がりしている。
今年の緊急支援金は、歳出上限枠外で44億レアルの支出を認める憲法補足法案(PEC)の議会通過を待って支給されるが、ゲデス経済相は8日、新支給額は平均250レアルと語った。
同相によると、母子家庭などで、家計を支える女性には375レアル、男性には175レアルで、夫婦の場合は平均で250レアルになるという。昨年の1200レアルと600レアルに比べるとかなり少額だけに、大統領の語った250レアルが、男性の受給額だと思っていた人達からは失望の声が出てきそうだ。