《ブラジル》サービス業が8カ月連続で成長=パンデミック前には戻らず=感染再燃の影響はまだ不明
地理統計院(IBGE)が8日、1月のサービス業は前月比で0・6%増となり、8カ月連続の前月比増を記録したが、パンデミック前の水準は3%下回ったと発表したと同日付現地サイトが報じた。
1月は8カ月連続の前月比増だが、20年6月の5・5%増以降は3%にも届かない成長だった事や、20年12月は実質0%増だったため、昨年2月比では3%減で、新型コロナの感染拡大で生じた2~5月のマイナス成長分は取り戻せていない。
昨年12月の数字は当初、0・2%減と発表されていたが、その後の見直しで0・0%に修正されたため、8カ月連続の成長となった。
1月の数字は昨年同月比では4・7%減で、直近12カ月間の累積では8・3%減となった。前年同月比4・7%減は、2012年の統計開始以来、2番目に大きな落ち込みとなる。過去最大の落ち込みは、2016年1月に記録した5%だ。また、12カ月間の8・3%減は1月としては最大の落ち込みとなった。
サービス業は国内総生産(GDP)の70%を占めており、GDP全体への影響が大きい。昨年は前年比で7・8%という大きな落ち込みを記録し、GDPが過去25年間で最悪の4・1%のマイナス成長で終わった最大の要因となった。
サービス業の5部門の実績を昨年2月と比べた場合、2月を上回ったのは情報処理・通信の2・6%のみだ。その他は、家族へのサービス29・9%減、交通・輸送、郵便2・7%減、専門的なサービスや経営・管理とその補助4・7%減、それ以外のサービス3・2%減となっている。
前月比で見た場合、交通・輸送の3・1%増と専門的なサービスの3・4%増が全体の成長をけん引した。交通・輸送では陸上輸送と空輸の貢献度が高く、専門的なサービスでは設計などの建築関連やエンジニアリングサービスなどの技術面でのサービスが目立った。
他方、情報処理・通信は0・7%、家族へのサービスは1・5%、その他のサービスは9・2%減少。情報処置・通信では視聴覚資材や報道関連の9・3%減、家族へのサービスでは宿泊や飲食関連の0・9%減が目立つ。
パンデミックで一時的に活動が止まっていた観光業は前月比で0・7%成長し、注目を集めた。観光業は昨年5月~1月に122・8%成長したが、昨年1月と比べると29・1%、昨年2月との比較では42・1%減に止まった。
現在は新型コロナの感染再燃で多くの州が外出規制を強化しており、2月、3月のサービス業やGDPの成長率は1月よりも低くなる可能性が高まっているが、どの位の落ち込みとなるかの見通しは立っていない。
ただ、感染第2波で経済活動に影響が出ている事は明らかで、中銀の経済動向予想調査「フォーカス」では、今年のGDPの予想成長率が3・29%から3・26%に若干下方修正された。予想インフレ率は3・87%から3・98%に上方修正されている。