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岩手福島宮城=東日本大震災の追悼式開催=3県知事がメッセージ寄せる=ユーチューブでも配信

 【既報関連】ブラジル岩手県人会(多田マウロ孝則会長)、福島県人会(今井マリーナ会長)、宮城県人会(上利エジガール会長)は11日9時30分から「東日本大震災10周年追悼式」を岩手県人会館で行った。当初はユーチューブで生配信予定だったが、当日に技術的トラブルが発生して配信できなかった。式典の様子を撮影・編集し、午後から実際に動画配信した。

追悼式の様子(左から上利会長、今井会長、多田会長)

追悼式の様子(左から上利会長、今井会長、多田会長)


 式典会場には3県人会会長や千田曠曉前岩手県人会長、大分県人会の伊東信比古会長などが参加。現岩手会長の多田氏が司会進行を務めて式典が行われた。最初に東日本大震災の犠牲者に哀悼の意を込めて1分間の黙祷を行った。
 多田氏は追悼の言葉として「東日本大震災から10年となる本日、尊い命を失われた方々の御霊に謹んで哀悼の意を表します」と述べ、「当時、ブラジルメディアでも恐ろしい震災の状況が放送され、テレビを離れることができませんでした。ブラジル側も一丸となり、総額6億円の義援金を日本赤十字社へ送りました」と振り返る。

 同氏がブラジル都道府県人会連合会の市川利雄会長の哀悼文を代読し、「10年前、津波と地震により犠牲となった多くの方の追悼式に臨み胸が引き裂かれる思いです。この式では犠牲者の魂に祈るだけでなく被災地の復興とその地で暮らす住民の1日でも早い生活再建を応援いたします」と述べた。
 3県人会会長が「東日本大震災犠牲者之霊」と書かれた祭壇に献花をして式を終えた。
 福島県人会の今井会長は「あの悲劇から早くも10年が経ちましたが、いつまでも忘れないようにこの式は続けなければなりません。遠く離れたブラジルからも皆さんで祈りましょう」と呼びかけた。
 宮城県人会の上利エジガール会長は「10年経った今も東北地方には、その爪痕は残っていると聞きます。何よりも心に傷を負った方も多いでしょう。これからもこの追悼式は続けて行こうと思います」と胸中を述べた。

献花の様子(多田会長)

献花の様子(多田会長)


 追悼式の動画は岩手県人会のユーチューブチャンネル(https://www.youtube.com/watch?v=Z8JCXQgQuGc&ab_channel=IwateKenjinkaidoBrasil)で配信中。岩手・福島・宮城の3県知事や在聖日本国総領事のビデオメッセージも含まれている。

■大耳小耳■
 今回の追悼式は、当初オンライン配信の予定だった。だが設定がうまくいかずに、急きょ予定変更、録画撮影して数時間後に動画配信となった。コロナ禍でオンラインイベントが多くなったが、機材の機能や使い方を一から学び始める人も多い。オンラインでの配信を行う場合、少なくとも専門家を1人置き、本番の1週間前には準備が完了できているぐらいがちょうど良いのでは。

 

誰一人として取り残さない復興=岩手県知事  達増拓也(たっそ・たくや)

 

達増拓也岩手県知事

達増拓也岩手県知事

 本日、東日本大震災10年追悼式がブラジル・サンパウロにおいて開催されますことを、岩手県民を代表して心から御礼申上げます。
 東日本大震災津波の発災以降、ブラジル岩手県人会の皆様からお見舞いや激励、義援金の提供など多大なるご支援を頂き、おかげ様でブラジル全体からの御支援にも広がり、今般、このような式典を開催頂きましたことと併せ深く感謝申上げます。
 私は、3年前のブラジル岩手県人会創立60周年記念式典の出席をはじめ、これまで3度にわたり御地を訪問して居りますが、この間(かん)、日本の皇室や内閣総理大臣、ブラジルの大統領など多くの方々が相互に訪問し合い二国間の関係の深化やブラジル社会に貢献した日系人の顕彰など、両国の絆は一層深まってきたと実感しております。
 また、昨年も南米訪問の機会に御地に再び足を運び、皆様と交流を深めることができればと考えておりましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大により叶わず大変残念に思っております。再び訪問し、皆様とお会いできる日を楽しみにしております。
 さて、本日、東日本大震災津波から10年を迎えました。岩手県では、「いのちを守り、海と大地と供に生きる、ふるさと岩手・三陸の創造」という目標に掲げ、被災者1人ひとりに寄り添う復興を進めて来ました。その復興は単に元の姿に戻すのではなく、よりよい復興ビルド・バック・ベターとなるよう努めてきました。
 10年を経た今、まち作りなど生活基盤は整備されました。津波による被害が大きく平地の少ない沿岸においては住宅再建に時間がかかっておりましたが、今年に入りようやく全地区で災害公営住宅の整備が完了し、今月には応急仮設住宅に入居した全ての方が恒久的住宅に移る見込みです。
 三陸鉄道の南北リアス線は沿岸部を縦貫する日本最長の第三セクター路線「リアス線」として新たに生まれ変わり、県土の縦軸・横軸を結ぶ高速道路等からなる復興道路は年内の全線開通を予定しております。
 被災した医療施設や公立学校、漁港などの復旧も完了し、更に「キャッセン大船渡(おおふなと)」や「アバッセたかた」などの大型商業施設が次々に開業し、被災事業所の再開も進んでおります。
 「未来に向けた伝承・発信」に取り組んでいくことも大切です。岩手県では、2019年9月に陸前高田市に東日本大震災津波伝承館「いわてTSUNAMIメモリアル」を開館し、震災の教訓を後世に伝承するとともに復興の姿を国内外の人々に発信する取り組みに力をいれております。
 今年は、「復興五輪」と位置付けられる「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」や11月に釜石市で開催予定の「防災推進国民大会2021」、海外の津波博物館との連携による震災伝承をテーマとした「三陸TSUNAMI会議」を予定しております。
 こうした取り組みを通じて岩手県の魅力を世界に向けて発信していきたいと考えております。復興は10年で終わりではありません。被災者のこころのケアやコミュニティの形成支援なりわいの再生など、引き続き取り組むべき課題もあります。
 「誰一人として取り残さない」という理念のもと被災者一人ひとりに寄り添いながら、今後も復興を推進していきたいと考えておりますので、引き続きの御支援、御協力をお願いいたします。
 結びに、新型コロナウイルス感染症が御地ブラジルをはじめ、世界中に大きな影響をもたらしている中、この度の「東日本大震災10年追悼式」の開催にご尽力されました関係者の皆様に深く感謝申し上げますとともに、新型コロナウイルス感染症の一刻も早い終息と御参会の皆様方のますますの御活躍御健勝、御多幸を心からお祈り申し上げます。

 

世界に誇れる復興を目指して=福島県知事  内堀雅雄(うちぼりまさお)

動画で挨拶を送った内堀雅雄福島県知事

動画で挨拶を送った内堀雅雄福島県知事

 本日ここに東日本大震災10年の追悼式が執り行われるに当たり、福島県民を代表して謹んで哀悼の言葉を捧げます。
 本式典の開催にご尽力をいただきました、被災三県の県人会役員の皆さんを始め、関係の方々に深く敬意と感謝の意を表します。
 2011年3月11日、地震と津波、そして原発事故が重なった未曾有の複合災害は、ふるさと福島に暗い影をもたらしました。
 あの日からちょうど10年が経過いたします。この間、ブラジルを始め、国内外からの温かいご支援により、福島県は着実に復興への歩みを進めております。改めて心から感謝を申し上げます。
 昨年には、帰還困難区域の一部で避難指示が解除されたほか、JR常磐線が全線で再開し、震災の記録と教訓を伝える東日本大震災原子力災害伝承館が開館するなど、明るい光が強まりを見せて参りました。
 一方で、今もなお多くの県民が避難生活を続けておられるほか、非難地域の復興・再生や、廃炉・汚染水対策、風評と風化の問題など、本県はさまざまな課題を抱えております。
 このような中、皆さんには県人会サミットや県費留学生などの事業を通じて、福島にお越しいただき、復興が進む光の部分と、難しい課題に直面している影の部分を、見て、聞いて、感じたことをブラジルで発信していただいております。
 2017年10月にはブラジル福島県人会創立100周年記念式典において、本県の復興状況を私から直接お伝えする機会をいただきました。
 福島県といたしましては、今後とも皆さんを始め、福島に思いを寄せてくださる多くの方々との共感の輪を広げながら、世界に誇れる復興を成し遂げるため、挑戦を続けてまいりますので、一層のご支援をお願いいたします。
 また、ぜひ福島にお越しいただき、本県の美しく豊かな自然、特色ある歴史や伝統文化、多彩な食など、さまざまな魅力に触れていただければ幸いです。
 新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい、人の往来が難しい状況が続いておりますが、この困難を乗り越え、皆さんと直接会える日が来ることを、楽しみにしております。
 結びに、ブラジル三県人会の今後ますますのご発展と、皆さんのご健勝を心からお祈り申し上げ、挨拶といたします。

 

震災の記憶と教訓を後世へ伝承=宮城県知事  村井嘉浩

村井嘉浩宮城県知事

村井嘉浩宮城県知事

 みなさん、こんにちは宮城県知事の村井嘉浩(むらい・よしひろ)です。2021年3月11日で東日本大震災の発生から10年となります。
 この間(かん)、海外の皆様の温かいご支援やご協力を頂き、宮城県民は復旧・復興に向けた着実な歩みを進めてくることが出来ました。皆様のご支援に対しまして心から感謝申上げます。
 県内の被災した市・町では震災の記憶と教訓を後世へ伝承する〝場〟としての震災以降等の整備をはじめ、震災前にも増して魅力ある街づくりを進めております。
 新型コロナウイルス感染症の影響により今はまだ世界の往来が難しい状況ですが、県内の観光地では皆様に安心してお過ごし頂ける様お迎えする準備を整えております。
 往来が再開された際には復興した宮城県の姿をご覧頂くため、世界中から沢山の方にお越し頂けることを楽しみにしております。それでは皆さん、宮城県でお待ちしております。