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特別寄稿=孤独問題担当相を設置すべきか?=コロナ禍で増加する麻薬や自殺=パラグァイ在住 坂本邦雄

(註・本稿は在マイアミ市のアンドレス・オッペンハイマー記者の、当地Abc Color紙に3月2日付で載った記事を参考にしたものです)

 これは笑い事ではない。
 日本では、パンデミック・Covid-19禍の派生問題に原因する、市民の絶望危機感、麻薬中毒や自殺率が急増している事態に備えて、政府は此の度、孤独問題担当相を創設した。我々の国々でも同じ様な手を打つべきではなかろうか。
 日本では去る2月12日に、菅義偉総理は主に、最近12カ月間に生じた市民自殺率の増加を重視し、その孤独・孤立対策を担当すべき特別な省を設置した。
 因みに、2020年に日本では2万1千人が自殺しており、これは過去11年間において最多だと、ジャパン・タイムスは報じた。
 パンデミックの影響により、遠隔作業や親睦集合のキャンセル等で、増加する孤独感の深刻性は、日本のみならず世界各国でも、日増しに市民の精神健康を犯し、悪化状態を来している。

イギリスの孤独問題担当国務大臣に関するウィキペディア

 2018年に英国の専門家らが、増加の波に備えて、鬱病及び精神疾患の対策の為に「孤独・孤立担当省」を創設した例を、日本は踏襲したものである。
 現在、専門家は事ある毎にバイデン大統領に、アメリカでも何か同じ様な対策を、早く講じる様に進言している。
 研究所の最近の「合衆国の絶望危機」と題する一研究書によれば、政府の各主要庁・局をまとめた白亜館直轄の一統合機関を、日増しに悪化する鬱病、麻薬中毒や自殺等の諸問題対策のために早急に創設すべく提唱している。
 「幸福感及び絶望感」に関する各種の専門書の著者で、世界的に知られる前述の研究書の草案者キャロル・グラハム女史は、「絶望感に耐えず自殺する人々は、アメリカで平均して年間約7万人に達する」と述べ、そしてそれが現下のパンデミック・Covid‐19禍が拡大する下で、およそ2倍の13万人に達する恐れが有ると云う。
 現在のパンデミック感染拡大に伴う、社会隔離や失業の悩みにより、麻薬の過剰摂取で死亡率が増えて居るのは、見逃せない問題である。
 しかして、この危機は単に麻薬の供給源を絶つだけで解決はしない。何故なら、絶望に悩む接種需要者は、代替麻薬入手の道を、別途必然的に得るだろうからである、と述べる。
 絶望感の為に死亡するアメリカ人は、主に中年の、大卒者ではない白人種の者だと、グラハム研究書は指摘する。
 そして、主な原因は「希望の欠如が問題の中心である」とグラハム女史は云う。
 その他に、教育程度の低いアメリカ白人の「絶望感の波」は、大衆迎合主義を煽ぎ、移民に対する憎悪、陰謀論の受容及び科学に対する懐疑論等を鼓舞する、とグラハム女史は言及する。
 英国で政府は、2分間で済む極く安価なアンケートで、民衆に「生きる正当な理由が有るか、そして幸福に生活して居るか?」と尋ねている。
 それは、大衆が陰に有す危険感を当局が適切に識別し、公共資金を社会福祉又は精神疾患の養生に、より有効に活用する目的の為である。

孤独・孤立対策担当の坂本大臣に関する日本の記事の一部

 しかし、日本及び英国が孤独問題担当省を設置した様に、アメリカで同じく実施するには非常に多額の予算を要するとは、グラハム女史の意見だ。代わりに白亜館内に、局制度級の当該スーパーオフィスを設けるべきだと主張する。
 そして「数千万ドル程度で済む、反官僚的なスーパー統合エイジェンシーの設置を提案する」と、グラハム女史は述べ、この「孤独・孤立問題担当局」の専門機能で、自殺や過剰な麻薬摂取中毒の防止策の強化・遂行は可能である、と言う。
 私は、その説に同感である。現下のパンデミア・Covid-19の蔓延騒ぎが、充分な予防接種で収まり、その絶望感も解消した暁に、なお多く残った絶望、鬱病や孤独の後遺症に悩む人達の、治療を徹底して行わねばならない。
 「孤独・孤立問題担当の省又は庁或いは局を創設」する計画は、今はまだやりすぎに聞こえるかも知れない。
 しかし、ホームワーク、電子取引や通信教育が盛んな今の時代では、日増しに増大する孤独危機にどのように対処すべきかは、社会的課題である。
 日本及び英国が、2018年に先ず始めた例の如く、絶望の疾患で誰某が死亡の危機に在るか判った時に、正に我々はその治療、介護、援護策や共済経済活動の社会プログラムの焦点が的確に解り、対策を定める事が出来るのである。
 現在、専門家達はバイデン大統領が、アメリカでも同様の対策を実施すべく、毎度盛んに進言している。