ルーラ元大統領は17日、米国のジョー・バイデン大統領に対して世界首脳会議のひとつG20を開催し、コロナワクチンの分配計画を立てることをテレビのインタビューを通じて提案して題を呼び、さっそく存在感を示している。17、18日付現地紙、サイトが報じた。
ルーラ発言が飛び出したのは、米国の報道局CNNが行ったインタビューの席でのこと。そこで、「米国には自国だけでは使い切れないだけのコロナワクチンが間違いなくあるはずだ」と言い、「その中のある部分は、ブラジルや、ワクチンを買えない貧しい国々に回されることになるだろう」との持論を述べた。
その上で、「これは私からバイデン大統領への提案だが、予防接種に特化したG20を開いてほしい。これは世界のリーダーたちがすぐにでも協議をしなければならない問題だ」と語った。
この発言を行った理由について、ルーラ氏は「ボルソナロ大統領が信用できないからだ」と語り、「米国の大統領がトランプ氏だったら、このような提案はしなかったが、バイデン氏は民主主義を守ってくれる人物だから」と説明した。
バイデン氏は、ルーラ氏が大統領だった2009〜10年に当時のオバマ大統領の副大統領をつとめており、個人的な知己がある。
ルーラ氏の発言の翌18日、ボルソナロ政権はバイデン大統領から受け取った手紙の内容を公表した。それは同大統領が2月26日に送ったもので、1月20日にボルソナロ大統領が出した手紙への返答だった。
それによるとバイデン氏は、「ブラジルと協力してアマゾンの森林破壊の問題やパンデミックに取り組んでいきたい」と記しており、4月22日に米国で開催される予定の世界気候会議や、11月にグラスゴーで開催される気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)のような国際的な環境会議への参加も呼び掛けている。
ボルソナロ政権がこのような動きに出た背景には、22年の大統領選へのルーラ氏の動きを牽制しようという意図がある。ルーラ氏はCNNのインタビューで、8日の最高裁のエジソン・ファキン判事の判断でラヴァ・ジャット作戦での裁判が無効になり、大統領選出馬の可能性が出てきたことについて質問され、「招待されれば断らない」「所属政党や同盟を結んだ政党が、資格ありと認め、健康や気力が保たれていれば出馬する」とした。ただし現在の関心時は、新型コロナからブラジルを救うことと語っている。