17日、コロナウイルスによる1日における新規感染者が過去最多の9万人超え、死者も2700人台で、過去1週間の死者数平均が2千人/日を超えるという最悪の状況に陥った。全国各地でも医療崩壊の声が続々と聞こえ、国内は混迷状態となっている。17、18日付現地紙、サイトが報じている。
オズワルド・クルス財団(Fiocruz)は16日夜、現在のブラジルの状況は「国家衛生史上、最大の危機と記した号外版の報告書を提出し、警戒を強めている。研究者グループ「レデ・アナリゼ・コヴィジ」の発表によると、現状のペースが続けば、4月末までには1日の死者が4千人台に乗ることもありうるという。
17日のコロナによる死者は2648人で、前日に記録した2841人こそ下回ったが、過去1週間の死者の平均は2017人/日となり、初の2千人超えとなった。新規感染者も9万303人と、初の9万人台を記録。1週間の感染者の平均も7万219人/日で、初の7万人超えとなった。これで累積での死者は28万4775人となり、同じく感染者は1169万3838人となった。
これらの数字は全て保健省の統計に基づくものだが、メディアがもう少し遅い時間に行う集計では、1日の死者2736人、1週間の死者の平均2031人/日、新規感染者9万830人で、死者総数は28万5136人、感染者の累計は1170万431人となっている。
この日も死者数、新規感染者数ともにブラジルは世界一を記録。死者2位の米国は、前日に続きブラジルの半分以下(1177人)だった。18日朝のニュースでは17日のブラジルの死者は、2位以下の6カ国の死者の総計(2633人)を上回ったと報じた。
ブラジルにおける医療崩壊は深刻さを極めている。17日現在で、全国27の連邦自治体(26州と連邦直轄区)において集中治療室(UTI)の占有率が80%を下回っている州はロライマ州の73%のみで、そのうちの15の連邦自治体では90%を上回っている。
UTIの占有率が90%を超える15の連邦自治体中で唯一、100%に達しているリオ・グランデ・ド・スル州では、5種類の変異株が見つかっており、きわめて心配されている。
そのうちの二つは、マナウスで発見されたP1と、リオ州で発見されたP2と呼ばれる型で、感染力が非常に強く、短期間で感染が広がった原因の一つとされている。P1、P2はいずれも、同時期に複数の型に感染する重感染や再感染を起こしやすいと恐れられている型だ。
研究者たちは現在、ブラジルが全国規模のロックダウンを至急行うことを主張し始めている。エスタード紙の取材に答えたある研究者は、「ロックダウンを行った国はどこも、14日目、もしくは15日目から結果が出はじめている」とし、「週末や1週間のロックダウンでは意味をなさない」と主張している。
こうした状況下、サンパウロ市のブルーノ・コーヴァス市長は、今年と来年の任意休日を5日分無理やり前倒しして、26日から合計10日間に及ぶ大型連休を作ることを宣言した。サンパウロ市ではこの日はじめて、UTIの空きを待つ間に死亡した患者がいたことを報告したが、コーヴァス市長は、同市ではロックダウンを実施するのは不可能であるとの見解も表明している。
サンパウロ州内陸部のカンピーナス市では18日、飲食店によるデリバリーやドライブスルーのサービスを20時までに限定など、外出自粛を厳しくした。
リベイロン・プレット市は15日からロックダウンを導入すると共に、地域の市長たちにもロックダウン採用を奨励。17日にはサンジョゼ・ド・リオ・プレット市などもロックダウンを開始した。サンパウロ州内では同日までに30市以上が、州政府が定めた基準より厳しい外出規制を採用している。