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《ブラジル》1日1食も満足にとれないスラム住民増加=パンデミックで寄付が激減

朝食を受け取ろうと列をなす人々(16日付G1サイトの記事の一部)

 ブラジル国内にある全てのファヴェーラ(スラム街)での調査の結果、スラムの住民の多くは、新型コロナのパンデミックで所得が減り、満足に食事をとる事さえ出来ずにいる事が分かった。
 サンパウロ市南部にあるスラム街のパライゾポリスでは、寄付を募って集めた食材を使い、所得がなくて食に窮している人のための弁当を作って配っているが、弁当を求める人の列は絶える事がない。
 弁当を待つ列にいた女性の一人は、家政婦として働き始めて1週間で新型コロナによる外出自粛となり、自宅待機を命じられた。だがその後、「もう来なくてもいい」と連絡を受け、失業状態が続いている。
 パンデミックの初期は寄付も多く、困窮者用の弁当も最大1万食を提供するに至ったが、現在は寄付が激減し、700食がやっとだという。
 少しでも多くの家庭に食事を届けるため、現在は、弁当の数を一家に2個までに限定。それ以上欲しい人は、もう一度列に入り直す事ができるが、2度目も弁当がもらえるという保証はなく、1度目さえもらえない人が続出している。
 スラム街のリーダーのジルソン・ロドリゲス氏によると、感染再燃で仕事を失った人が増えたのに、緊急支援金の支給は停止されており、1日1回の食事さえ満足にとれない人が増えているという。

 弁当用の食材も不足気味で、肉などのタンパク源はゼロとか、ゆでたスパゲティだけで何も身が入っていない日、米やフェイジョンが入らないという日もあるという。それでも、弁当を受け取れずに帰る人が連日出ているというから事態は深刻だ。
 全国のスラムでの調査によると、パンデミックの期間中に所得が半分以下になった家庭は71%に及び、弁当などの寄付がなければ家族を食べさせる事もできないという家庭も81%あった。スラムの住民の大半は、1日2食以下で過ごしているという。
 スラムの住民の多くは日銭を稼いで暮らしており、正規雇用者はごく僅かだ。また、仕事の多くは、対面あるいは職場に出向かなければならないもので、在宅勤務は夢。
 感染の危険におびえつつ、家族を食べさせるために出歩くという人がほとんどだ。近場で空き缶を集めていた人達は、空き缶を集める人が増えすぎて、収入にならなくなったとぼやいている。
 パライゾポリスでは朝食と昼食を提供するよう努めているが、もらえる人はごく僅かで、弁当や食料品セットが欲しいと尋ねてくる人を手ぶらで帰らせなくてはならないのを嘆いたリーダーが、「住民の中には『この弁当を隣の人と分けて食べる』と言って帰って行った人もいる。彼らがどうやって食いつないでいるのか、気がかりでならない」とSNSで呼びかける姿なども見られている。(16日付G1サイトより)