18日、証券市場の取引終了後、ブラジル銀行がアンドレ・ブランダン頭取が辞表を提出した事を告げた。後任頭取は即座に選ばれ、4月1日に就任と18、19日付現地紙、サイトが報じた。
ブランダン氏は金融界で20年以上の経験を持ち、民間金融機関の理事などを歴任。昨年8月の前任者退任後、ゲデス経済相の推薦で頭取に就任した。
1月には経営効率化のため、112の支店や出張所の閉鎖や5千人に及ぶ人員整理などの改革案を打ち出したが、これが地方への支店増などを訴えてきたボルソナロ大統領との間での軋轢の原因となった。
大統領は1月の時点で同頭取更迭を考えたが、ゲデス経済相らの働きかけでいったん思い止まった。だが、大統領は2月18日のライブでペトロブラス(PB)による燃料値上げを批判し、「何かが変わる」と発言。その翌日にPB総裁更迭を発表した時も「まだ変わる」と語っており、ブランダン氏更迭は時間の問題と見られていた。
ブランダン氏の辞表提出は大統領が更迭を決めたと知ったためで、解任されるのを待つのを嫌って自分で幕を引いた。PBの総裁更迭で生じた市場でのネガティブな反応で頭を痛めていたゲデス氏は、このタイミングでの更迭を避けようと画策していたが、頭取の方が先に辞任を選択した形になった。
ブラジル銀行によると現頭取の離職は4月1日で、18日の内に、同行傘下のBBアドミニストラドーラ・デ・コンソルシオス社長のファウスト・デ・アンドラーデ・リベイロ氏(52)が後任に選出された。
リベイロ氏はブラジリアのカトリック大学で経営学、大学センターで法学を学んだ。その後も米国のジョージ・ワシントン大学などで経営学の修士号などを取得。2000年にブラジル銀行就職後は、同行や傘下の企業で要職も務めてきた。
経済省は、リベイロ氏の名前はブラジル銀行で人事その他を担当する委員会に通達済みで、同委員会の審議を経て、正式指名となる見込みだ。
次期頭取には、ブラジル銀行副頭取の一人のマウロ・リベイロ・ネット氏や連邦貯蓄銀行傘下のCaixaセグリダーデ社長のエドゥアルド・ダカシェ氏の名前も挙がっていたが、ネット氏は公的銀行での経験不足、ダカシェ氏は公的銀行同士のライバル意識が障壁となったという。
ボルソナロ大統領は政権発足時は、経済問題はゲデス氏に一任との意向を表明し、同相にかつてない程の権力を与えていた。
だが、19年には社会経済開発銀行(BNDES)頭取のジョアキン・レヴィ氏を批判し、同氏辞任を招いた上、国税庁のマルコス・シントラ長官を更迭。2月のPB総裁更迭も含め、ゲデス氏の意向を無視した行動や意向確認前の政治的発言が繰り返されている。
経済省では先日も局長の一人が辞任しており、ゲデス氏同様のラディカルな経済理論に賛同または同相が選んだ人物が一人、また一人と表舞台から姿を消す事態が続いている。