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《ブラジル》大統領のテレビ演説に鍋叩き抗議=国中で顕著な欲求不満の高まり

23日の政見放送でのボルソナロ大統領(Isac Nobrega)

 23日夜、コロナ対策に関するテレビ演説を行ったボルソナロ大統領に対し、全国各地でパネラッソ(鍋叩きデモ)が起こり、国民の強い不信感が示された。24日付現地紙が報じている。
 テレビ演説が行われたのは23日午後8時30分から。放送がはじまった瞬間、サンパウロ市やリオ、ベロ・オリゾンテ、ブラジリアといった大都市やそのほかの州都を中心として、一斉にパネラッソが行われた。
 パネラッソはこの10年近く、大統領への抗議を示す手段としてお馴染みのものとなっている。昨年の3月から5月にかけて、大統領がコロナの外出自粛を否定し、支持者にカレアッタ(車両デモ)を煽っていた際には連日行われていた。
 鍋の底を叩く金属音が鳴り響く中、「フォーラ(やめろ)、ボルソナロ」、さらに、ここ最近の大統領批判では合言葉のようになっている「ジェノシダ(大量殺戮者)」などの罵声が飛び交った。

 この日、初めての3千人以上となる1日の死者を記録。コロナ対策への甘さに対する国民の怒りがつのっていた。
 この放送の中で大統領は、これまでのワクチンに対する否定的、消極的意見から一転、「2021年をワクチンの年にしよう」と発言。年末までに5億回分のワクチンを確保することを国民に約束した。
 だが、この日は、保健省が4月に届くワクチンの数の見込みを下方修正していたことが公にされ、予防接種計画進展への懸念が生じたばかりだった。
 この日、最高裁のマルコ・アウレーリオ・メロ判事は、ボルソナロ大統領が求めていた、連邦直轄区、バイア州、リオ・グランデ・ド・スル州の知事が出した、コロナ抑制策としての厳格な外出自粛の知事令無効化の請求を却下した。この請求は先週、ボルソナロ氏が「経済活動の自由を否定するもの」として訴え、物議を醸していたものだったが、あえなく却下。大統領にとっては、パネラッソと並び、踏んだり蹴ったりの1日となった。