22年の大統領選に関する世論調査で、ルーラ元大統領(労働者党・PT)がボルソナロ大統領(所属政党なし)を一次投票、決選投票共に上回る結果が出はじめている。また、ボルソナロ氏の拒絶率が過去最悪の数値に上がっていることも明らかになっている。6日付現地紙が報じている。
これはXPインヴェスチメントスが6日に発表した調査結果で判明したもの。今回の調査は3月29〜31日に全国を対象に行われた。
それによると、一次投票のシミュレーションで、ルーラ氏が29%を獲得し、ボルソナロ氏の28%をわずかに上回った。
同団体の調査は、ルーラ氏が最高裁のエジソン・ファキン判事により、ラヴァ・ジャット作戦の裁判結果を無効にされた3日後の3月11日にも行われており、ルーラ氏はこのときの25%から支持率が急上昇。27%だったボルソナロ氏を追い越した。
なお3位にはセルジオ・モロ元法相(所属政党なし)とシロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)が同率で並んだ。
決選投票のシミュレーションでも、ルーラ氏はボルソナロ氏に42%対38%で勝利するとの結果が出ている。前回調査では41%対40%でボルソナロ氏が逃げ切っていた。
同調査によると、統計学的な誤差は3・2%ということで、まだその範囲内にはあるとはいえ、ルーラ氏が有利になってきている傾向は否めない。
ボルソナロ氏がルーラ氏以外の人物と決選投票を争った場合のシミュレーションでは、モロ氏とは30%対30%、シロ氏とも38%対38%で、引き分けとの結果が出ている。
今回のXPは大統領選世論調査のほかに、ボルソナロ氏ならびに同氏の政権に関する世論調査も行われたが、その結果は大統領選以上に数値が悪かった。
まず、大統領本人への拒絶率(不支持率、悪い/最悪)が60%に達した。過去最高の拒絶率は20年7月に記録した58%だったが、これを更新した。支持率(良い/最良)も33%で、拒絶率の半分近くに落ちている。
政権への評価も48%が「悪い/最悪」で、「良い/最良」は27%、「普通」は24%だった。「良い/最良」が30%を切ったのは昨年の7月以来のことで、残りの任期中の政権運営についても、「悪い/最悪」と予測した人が45%で、「良い/最良」は28%だった。
ボルソナロ大統領は7日、サンパウロ市で企業家たちと大規模な食事会を行うこととなっている。その目的は、彼らと再接近し、財界の重鎮や銀行家、企業家らからの公開文書を突き付けられたりして急落中の信用を今一度回復させることにあるという。
一方、シロ・ゴメス氏は5日、ルーラ氏に関し、「アルゼンチンのクリスチーナ氏を見習うべきだ」とし、政権復帰に、大統領への返り咲きでなく副大統領職を選んだ同氏の例を勧めた。同時に「(ベネズエラの独裁者の)マドゥーロ氏や(再選をめぐり国内で暴動が起きたボリビアの)エヴォ・モラレス氏と同じ轍を踏まないように」と発言した。シロ氏は18年の大統領選の際、出馬できなくなったルーラ氏の左派票の一部を獲得し、3位になった経緯がある。