《ブラジル南東部》死者数が出生数を超える?=4月初週に3地域で初事象発生
新型コロナ感染症による死者急増などで、南東部の4月1~6日の死者数は1万2181人となり、出生者数の1万1744人を超えた。
地理統計院(IBGE)は、死者数が出生者数を超えるのは2047年にしか起こらないと予測していた。同院では、ブラジルの人口は26年後に2億3300万人を記録してから減少に転じると予測していた。
だが、今年は新型コロナ感染症による死者急増で、死者数と出生者数のバランスが崩れた。南部のリオ・グランデ・ド・スル州と南東部のリオ州では3月の段階で死者数が出生者数を超えた。1~6日は南東部でも死者が出生者を上回り、人口バランスが崩れた。
1~7日の数字で見ると、未曽有の事態が3地域で起きている、4月最初の7日間の南部での死者は5639人で、出生者は5252人。南東部では死者1万5967人に対し、出生者が1万3998人。中西部では死者が2618人で、出生者は2617人だった。
北部は死者1380人に対し、出生者2821人、北東部は死者5902人に対し、出生者7489人で、人口減少は起きていない。伯国全体でも、死者3万1506人に対し出生者3万2177人で、まだ、出生者の方が多かった。
ただ、登記所への登録期日は出生日や死亡日から10日以内なので、この数字は変わり得る。だが、出生者数の伸びよりも死者数の伸びが大きいという傾向は昨年から続いており、全国的に見ても死者数が出生者数を上回る事態は起こり得る。
ブラジルの人口は120年間、増える一方で、20世紀になった時の人口は1740万人だったが、現在は2億1290万人と推測されている。
統計学者のジニス・アウヴェス氏は、新型コロナのパンデミックが健康システムと経済に与えた衝撃が出生数減少を招いたと見ている。感染第1波のピークだった昨年6~7月は、医療崩壊と失業者3200万人という状況で子供を作るのを遅らせようと考える女性や夫婦が増えたという。
ハーバード大学の人口と開発研究センターのマルシア・カストロ氏によると、2019年の出生者数は死者数の2・2倍だったが、昨年はこの差が1・8倍に縮小した。
専門家はパンデミックの影響は短期的なものと見ているが、感染を抑制しきれず、死者が急増した事は過去に経験した事がない状況を生じさせており、一気に上昇した死亡率の今後の動きは観察が不可欠だ。
今年3月の死者は17万4千人超で、昨年同月比で63%増えた。専門家は今のペースなら月間死者数が22万人に達する可能性もあると見ている。また、修復不能な状況に陥らないためには、社会的な取り組み方を早急に改め、国を挙げた厳密な社会隔離策や人の動きの抑制、予防接種による感染抑制が不可欠だ。修復可能な段階で状況を覆せるか否かは現在と将来のブラジルを決める。(8日付G1サイト、11日付エスタード紙より)
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