ボルソナロ大統領の広報役がヴェージャ誌のインタビューで語った内容が、エドゥアルド・パズエロ前保健相にコロナ禍の責任の全てを押し付けようとするものであったことから、反発の声があがっている。23日付現地紙が報じている。
問題になっているのは、大統領府社会通信局(SECOM)元局長で、ボルソナロ氏の広報役をつとめているファビオ・ワインガルテン氏が、22日発売のヴァージャ誌のインタビューで語った内容だ。同氏は連邦政府と州や市の援助金のやりとりなどの件での責任者の一人で、上院のコロナ禍に関する議会調査委員会(CPI)でも証言者の一人となる見込みであるため、その言動が注目されている。
ワインガルテン氏は今回の取材に対し、昨年8月に米国ファイザー製薬がブラジル政府に対し7千万回分のワクチン契約の依頼と緊急使用の許可を求めていたにも関わらず、話が進展せず頓挫したことに関し、「同ワクチンは世界で最も効果を示していたので期待していた。だが、保健省で話が止まったままになっていたので、ボルソナロ大統領に話を持っていったが、大統領のもとには誤った情報だけが届いており、話をまとめられなかった」と語った。
ジャーナリストが「なぜ話が前進しなかったのか」と問うと、ワインガルテン氏は「官僚主義が行き過ぎていた上、担当者たちが無能で役立たずだったからだ」と語った。ジャーナリストが「それはパズエロ氏のことか」と問うと、「同氏を含む保健省のスタッフのことだ」と答えた。
だがこの件が起きたのと同じ頃、昨年の10月にパズエロ前保健相が州知事らと会合を開き、コロナバックをワクチン計画の一部に加え、4100万回分の契約を結ぶ予定だと発表したとき、その翌日に契約を反故にさせたのは大統領だった。
また、ファイザー社との契約書に盛り込まれた文言にボルソナロ氏が抵抗を示していたことや、同じ文言がボルソナロ氏が承認したオックスフォード・ワクチンの使用や国内での生産に関する契約書にも記載されていたことは、国内メディアが既に報じている。
この記事に対し、政治家からは批判の声があがった。ロドリゴ・マイア前下院議長は、「大統領を守るために口裏を合わせた」と批判。マルセロ・フレイショ下議(社会主義自由党・PSOL)、オルランド・シウヴァ下議(ブラジル共産党・PCdoB)、ジョイセ・ハッセルマン下議(社会自由党・PSL)なども、「パズエロ氏を切り捨てて自分が生き残ろうとする魂胆だ」と批判した。これらの反論を受け、23日付フォーリャ紙サイトも「これでボルソナロ氏はCPIで不利になった」との見解を示している。