ボルソナロ大統領が22日夜、今年度の年間予算法(LOA)を裁可、23日付連邦官報に掲載したと22、23日付伯字紙、サイトが報じた。
今年度予算は年末時点での承認がかなわず、年初に議会が再開し次第、審議されるはずだった。だが、新型コロナの感染再燃その他で審議が遅れた上、審議中に修正が入り、3月25日に承認された時点では、議員割当金の大幅増と政府が使える経費の大幅削減が起きていた。
このため、LOAをそのまま裁可すれば、大統領の財政責任が問われ、罷免請求にもつながりかねない状態が生じ、経済省が議会との交渉を始めた。
だが、議会側がLOAの見直しを拒否したため、最終的な打開策として浮上したのが、連邦予算基本法(LDO)を緊急修正し、新型コロナ対策のための経費を通常の予算の枠から外す案だ。
LDO修正法案は19日に承認、21日に裁可された。これにより、今年度のLOAは過去15年間で最も遅く、議会承認後の期限最終日に裁可される事になった。
大統領は拒否権を行使し、議員割当金から119億レアル、義務的支出以外の政府支出から79億レアルを差し引いて裁可した。議会との合意に基づけば、議員割当金90億レアルが追加凍結される予定だが、この分は財政上の余力が生じたら復活させる約束だ。
議員割当金の大幅増額は選挙年を来年に控えた議員達が地元への利益還元に迫られた結果だ。その結果に起きた連邦政府が使える予算の大幅削減は、年金や恩給、家族農への補助金などの支払いを危うくしていた。
裁可時の議員割当金や義務ではない支出の削減は、パウロ・ゲデス経済相の要請で行われた。同相はLOAが承認された時点で、このままでは財政責任法に触れ、大統領選出馬も危うくなると大統領に警告していた。
アルトゥール・リラ下院議長は「拒否権を行使すれば問題が生じ得る」との表現でゲデス氏と大統領に警告を発していたが、最終的には議員割当金の一部削減などに応じた。
ただし、予算審議の時点で削減された社会保障費や種々の補助金といった義務的支出の分を保障するため、政府側も投資などを含む義務的支出以外の支出を削減する必要に迫られた。
コロナ対策資金の確保に腐心していた経済省は21日のLDO修正法裁可で安堵した。だが大統領府はLOA裁可前、歳出上限法を守るため、相当額の予算が削減されると全省庁に通達している。
ボルソナロ大統領は22日の気候変動サミットで環境監視機関への資金倍増を指示したと語ったが、環境省予算は2013年の94億9689万8554レアル(インフレ調整で143億78万9521・38レアル)以降減り続け、過去21年間で最低の29億4409万83レアルだ。
国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)や生物多様性保全のためのシコ・メンデス研究所(ICMBio)は予算削減と共に、懲罰適用にも制限が加えられ、ICMBioのコーディネーターが辞任した。
政府関係の予算削減は地理統計院(IBGE)による国勢調査実施にも赤信号を点し、IBGEのトップ辞任を招いた。
他方、LOA裁可で予算の実行が可能となった事で、近日中に経済省がコロナ対策の一つに考えていた恩給受給者への13カ月給の前倒し支給が発表される見込みだ。