最高裁で22日、ラヴァ・ジャット作戦の主任判事だったセルジオ・モロ氏が「ルーラ元大統領の裁判に関して偏った判断を出したか否か」の全体審理が行われ、投票未終了時点だが7―2の過半数となり、「偏りがある」との判断が大勢となった。23日付現地紙が報じている。
モロ氏をめぐる審理は、3月8、22日に第2小法廷が行い、判事投票3―2で、「偏った判断を下した」という判決を出していた。そのときは、カルメン・ルシア判事が一度出していた判断を覆したことで決まるという、かなりの接戦だった。
22日の審理は、この判断を改めて大法廷にかける形で行われた。だが、15日の審理で、エジソン・ファキン判事が3月8日に出した「ルーラ氏を巡る二つのLJ裁判の判決無効化」が8―3で正式承認されたことからも予想されたとおり、この日の審理もモロ氏にとって厳しいものとなった。
報告官は最高裁内のLJ判事でもあるファキン判事が務め、第2小法廷の審理と同様にモロ氏の審理が公正だったことを訴えた。だが、第2小法廷の審理の際、モロ氏の偏りを強く主張したジウマール・メンデス判事がこれに強く反対した。
すると、メンデス判事にカシオ・マルケス、アレッシャンドレ・デ・モラエス、リカルド・レヴァンドウスキー、ジアス・トフォリ、カルメン・ルシア、ローザ・ウェベルの計6判事がつき、過半数を超えた。ファキン判事にはルイス・ロベルト・バローゾ判事しかつかなかった。
この審理では、バローゾ判事とレヴァンドウスキー判事が激しく口論する姿が話題となった。バローゾ判事が汚職撲滅を目指していたLJの失墜を嘆く形でモロ氏をかばうと、レヴァンドウスキー判事がモロ氏や検察庁パラナ支局のLJ捜査班のメンバーとの間で交わされた通話内容がハッキングされて報道されたスキャンダルをあげて反論。「汚職撲滅どころか、ブラジルに甚大なる経済的打撃までもたらした」とLJを批判した。さらにメンデス判事もこれに加勢し、バローゾ判事に対して「あなたの負けだ」とまで言い放った。
モロ氏に関してはフランスのル・モンド紙が10日付で、「ブッシュ政権時代の2007年に、米国がブラジル大使を通じて、保守派判事であるとの評判を聞きつけ、モロ氏と接触を図った」「モロ氏が当時、FBIの関係者などと会っていた」との記事を掲載するなど、モロ氏に不利な流れもあった。
22日の審理はマルコ・アウレーリオ判事の見直し要求で一時中断された。だが、再開日時は決まっておらず、アウレーリオ判事とルイス・フクス長官がモロ氏支持の票を出しても、更に2判事が票を覆さない限り、結果は変わらない。
この日はLJ裁判での判決が無効となったルーラ氏の裁判やり直しの場合の裁判所を決める審理も行われ、ファキン判事が指定した連邦直轄区(DF)連邦地裁への移管との案が、6票を獲得して本決まりとなった。DF移管以外の案としては、カシオ、アウレーリオ両判事とフクス長官がパラナ州連邦地裁、モラエス、レヴァンドウスキー両判事がサンパウロ州地裁に票を入れていた。