3月に大爆発したブラジルでの変異株を中心としたコロナ第2波。4月も引き続き記録的な死者は記録はしたものの、5月を目前とした現在、ひところに比べればだいぶピークを超えた様相を見せている。
28日付フォーリャ紙サイトによると、全国の死者の1週間での総数が前週比較で20・2%、感染者数が21・4%減少している。同日付G1サイトによると、感染、死亡が特に悪化している州は12州で安定、13州で減少を記録している。
この背景には、各自治体の厳しい外出自粛の努力とワクチン接種が進んだことがあげられ、1カ月前の今頃を思うと状況はかなり良い意味で裏切られたように思う。
思えば3月の終わり頃、メディアの予測は幾分、悲観的すぎたとコラム子は思う。「1日の死者5千人もありえる」「6月の初旬には全国の死者が60万人に」。そうした言葉が記事の見出しとして踊っていたからだ。
コロナ禍の深刻さを訴えないといけない立場にあるのは承知の上だが、それでもコラム子はブラジルメディアのこうした報道に疑問を感じていた。ひとつは、専門家の望むような完璧なロックダウンこそ行なわれなかったものの、大聖市圏内での10日間の「フェリアドン」をはじめ、各地でそれなりに厳しい対策が行われていたから。「外出の機会そのものが必然的に減るのに、そこまで大きな感染は起こりようがないだろう」。そう思ったからだ。
そして、もうひとつが、「変異株が生じた地域でのデータ」をコラム子があらかじめ情報収集していたからだ。変異株の生まれたイギリスや南アフリカでも、国内でもアマゾナス州マナウスやサンパウロ州アララクアラでも、「いったん、感染ペースが下がり始めたら収束が早い」ことを知っていた。「あとは予想が当たればいいが」と思っていたが、今のところ、コラム子の予想よりも早くそれが起こっている。
また、コラム子の読みだと「サンパウロ州は5月に入って商業活動再開。中旬にサービス復活」だと睨んでいたが、それよりも2週間前にそれが起こった。「少し早すぎるのでは」とも思ったが、今のところ、それに伴うぶり返しの話などもない。
今の感じだと、よほどのぶり返しがない限り、1日の死者が5千人になることも、1カ月でもう20万人が亡くなる(現在の死者が約40万人)こともなさそうだ。考えようによっては「脅しが効いた」と解釈する人もいるかもしれない。
だが、コラム子はこうした報道に「落ち着かないといけないときにパニックになりやすいブラジル」の一端を見たような気がした。起こりもしていない恐怖を煽るよりも、落ち着いて規制を守らせる方が良いのでは。いわゆる「否定論者」の存在も、そもそも現実と向かい合いたくない恐怖心から生まれて来ているような気もする。
煽りすぎて逃避させない方が良いのでは。(陽)