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《特別寄稿》コロナ禍の中で嬉しいニュース=ミルトン・ヒダ医師の叙勲=在ブラジル大使館 参事官兼医務官 岡本洋幸

左から、長男、次男、肥田ミルトン医師、妻の文子(あやこ)さん、三男、四男(肥田家提供)

 2021年4月29日、ミルトン・ヒダ氏が、旭日小綬章(きょくじつしょうじゅしょう)の受章が発表されました。
 同氏は、2008年、日本とブラジルの相互理解の促進に貢献したことから外務大臣表彰も受賞しています。
 ヒダ先生についてはご存知の方も多いと思いますが、私個人とのエピソードも含めてご紹介します。
 ヒダ先生は、1969年からサンパウロ州立パウリスタ総合大学眼科医として活躍すると共に(正教授にも就任)、1977年からはIMA(慶応義塾大学医学部国際医学研究会)の医学部生よるブラジル訪問の調整官として活動するなど、面倒見のある方です。
 ご子息2人は眼科医、1名は歯科医、1名はNGO「AMDAF」(Associação Médicos da Floresta:ブラジルの日系人によって運営され保健分野等での支援に従事するNGO)で活躍をされています。
 2019年、国際眼科学会をご子息が会長として開催した際、筆者も日本の保険制度などについて講演する機会を得ましたが、ヒダ先生の人脈によって日本の高名な教授も講演に招待されていました。
 ヒダ先生の人脈交流の特徴は、一時的なものではなく、長期的な連携になっていることです。
 例えば、IMAの方は、その後、多くが病院長や教授になり、また、団長として学生を引率してブラジルで再会もしていました。筆者もIMAの方と昨年サンパウロで食事会をしましたが、皆ヒダ先生のご自宅に宿泊し、和気藹々と家族のような雰囲気でした。
 IMAの学生達は、ポルトガル語で学会発表を行いますが、ヒダ先生はその添削もされていました。
 慶応大学のみならず、群馬大学とはマラリアやオンコセルカについて共同研究をしたり、論文も発表されています。

ボランティアの精神

 ヒダ先生は、1968年から日伯援護協会巡回診療医として、活躍され、2013年からはサンパウロ州内だけで50カ所、合計6万人を診察しました。この巡回検診にはご子息を同伴されることもあったようです。
 その後、ご子息はNGO団体を立ち上げ、先住民の白内障手術や歯科治療など、ご子息4人が協力して対応されています。この時の同伴した経験がNGO立ち上げにつながったそうです。
 さらに、「OUI Inc.」 (慶応大学の眼科医が起業したベンチャー企業)とも交流があります。
 この企業は、患者の眼を遠隔地からでも診察することが出来る装置を開発し、実際にブラジル、ザンビア、モンゴルなどで活動しています。
 この企業が、ブラジル先住民の診察支援が出来るように同NGOは共同で対応しているそうです。

今後の計画

 ヒダ先生は、2017年よりブラジル日系医師会長に就任していますが、今後の日系医師の地位向上と共に、他の国の日系人医師会との連携も計画されています。筆者も、知り合いの欧州日系医師副会長(元会長)を紹介させていただきました。
 ヒダ先生との約束で、ヒダ先生とともに、慶応グループの応援も継続させていただくことになりました。
 Covid―19パンデミックの下、厳しい状況が続きますが、日系社会の皆様の健康と安全、またミルトン先生の今後のますますの活躍をお祈りいたします。