28日、連邦第4地域歳(TRF4)はラヴァ・ジャット(LJ)作戦関連の収賄罪で拘束中だった元下院議長のエドゥアルド・クーニャ氏の勾留を解き、釈放を命じた。同氏はすでに、新型コロナのハイリスクグループであることなどで自宅軟禁だったため、今回の判決で外出が可能となる。同氏はジウマ元大統領を罷免に追い込んだ下院議長として有名で、2016年10月から逮捕された状態だった。28、29日付現地紙、サイトが報じている。
クーニャ氏への人身保護令適用は、2016年10月、LJ作戦に伴うベニン作戦に関するものだ。クーニャ下議(当時)は、ペトロブラスがアフリカのベニンでの油田開発事業を行った2011年頃、同公社と契約を結んだ企業との間で口を利いた見返りとして、契約金の数パーセントを受け取っていたとされている。口利き料の支払いは、同氏がスイスに開設した銀行口座を通して行われていた。
クーニャ氏は16年10月に逮捕され、翌17年に、パラナ州連邦地裁でセルジオ・モロ(当時)判事から14年6カ月の実刑判決を受けた。裁判は2審まで進んでいたが、クーニャ氏の勾留はこの裁判結果を受けたものではなく、再犯防止などを目的とした予防拘禁(prisão preventiva)が自動的に延長され、長期勾留になっていた。
28日に行われた審理では、報告官をつとめたジョアン・ペドロ・ジェブラン・ネット判事が「これ以上、予防拘禁を継続する新しい要素がクーニャ氏には存在しない」と判断。他の判事たちも賛意を示し、勾留が解かれることとなった。
クーニャ氏はパラナ州の連邦刑務所に留置されていたが、19年5月にリオの刑務所に移管された。翌20年3月には、コロナ禍回避と健康上の理由で、自宅軟禁に切り替えられた。クーニャ氏は当時、消化器官の手術が必要との診断を受けていた。
自宅軟禁の状態からの拘束が解かれたことで、クーニャ氏には電子式の足環解除が認められた。だが、同氏はブラジリア連邦地裁が管轄のセプシス作戦の裁判(1審)で有罪となっているため、イタリア国籍も持つ同氏が国外逃亡などを企てぬようパスポート没収が命じられた。ブラジリアの裁判は、同氏が連邦貯蓄銀行(CAIXA)を介した贈収賄工作疑惑に関してのものだ。
今回のクーニャ氏釈放に関して、政界からは「ルーラ氏が釈放された余波だ」と批判する声が上がっている。セルジオ・モロ氏が3月に最高裁第2小法廷で、ルーラ元大統領の裁判で「偏った判断を下した」との判決を受けたことで、LJ作戦で逮捕された他の政治家の被告にも影響が及ぶのではないかと危惧されていた。
だが、今回のTRF4の判断は、モロ氏がクーニャ氏に行った裁判結果を見直したものではなく、長期勾留を終えるものに過ぎない。2審まで続いているLJ作戦の裁判そのものが無効になった訳ではない。