1日の「労働者の日」、白昼のサンパウロ市パウリスタ大通りに約5千人が集まり、ジョアン・ドリアサンパウロ州知事の自粛政策を批判する大規模なデモが行われた。
現場は、ブリガデイロ駅周辺からトリアノン・マスピ駅までの歩行者天国を利用し、黄色と緑のブラジル柄の服を着て国旗を背負う人々が反自粛デモを行った。
ボルソナロ大統領派で有名な社会自由党(PLS)所属のカルラ・ザンベリ(Carla Zambelli)下院議員もデモに参加し、州知事の自粛政策は経済衰退と貧困の大きな原因であると真っ向批判する演説を凱旋車上から参加者に向けて行った。
デモを行う人々は、「仕事が無くては生きてはいけない!」や「いつまでも自粛して生活ができるわけがない!」「税金で生活する政治家は自粛で市民が困窮していることがわからない!」と猛抗議していた。
ラヴァ・ジャット作戦の裁判判決が無効化して、大統領選出馬が正式に可能になったルーラ元大統領への抗議も鳴り止まなかった。
聖州では、4月12日に外出規制レベルを最厳粛の「紫」からを「赤」に緩和。現在は「赤」から「オレンジ」に移す「移行レベル(フェーズ)」として、営業時間や入場規制を設けてレストラン、バー、理髪店や美容院、スポーツジム内での利用が可能になった状態だ。
ブラジル全土では3日時点で約40・8万人が死亡した一方で、コロナ自粛による影響から昨年より経済が低迷、企業倒産や飲食店閉業が相次ぎ、解雇される者が増えている。失業者が次の職場を見つけることは難しく、やむを得ずホームレスになったり、犯罪に走るなどで治安悪化が叫ばれている。
と同時に昨年来のレアル安で、ガソリンや米、肉、フェイジョン豆、紙など生活必需品の値上がりがひどく、貧困層ほど悪影響に泣いている。
手広く飲食店経営を行っていた記者の友人も、今回の自粛で経営難に陥り閉業した。もちろん、コロナ自粛だけを理由にする事はよくないが、飲食店の規制ばかりを強める部分も疑問がありそうだ。「背に腹は変えられない」人達の抗議を否定はできない。
自粛による感染抑制が大切な反面、先進国のような潤沢な休業保障が難しいブラジルだからこそ、コロナ災禍が一刻も早く終息し、経済状況が回復する事を願うばかりだ。(淀)