4月30日に行われた特別法廷での審理の結果、リオ州のウィルソン・ヴィッツェル知事(キリスト教社会党・PSC)が投票結果0―10の満場一致により、正式に罷免された。また、今後5年間、選挙への出馬はもちろん、いかなる公的な役職に就くことも禁じられた。1日付現地紙が報じている。
ヴィッツェル知事の罷免を問う審理は、4月29日の報告書提出と翌30日の投票と、2日間にわたって行われた。ヴィッツェル氏は、リオ州保健局がコロナ禍の中で行った、人工呼吸器などの購入の際に生じた贈収賄工作疑惑に自身も関与した疑惑が持たれたため、昨年9月23日に、リオ州議会で0―69の圧倒的多数で罷免審理にかけられることが決まった。同氏はそれに先立つ昨年8月28日に、連邦高等裁判所から180日間の停職処分を受けており、その時点から、停職状態に置かれていた。
4月30日に行われた罷免投票でもその劣勢が覆ることはなく、5人のリオ地裁判事、5人のリオ州議からなる10人の委員による投票でも、満場一致の0―10の屈辱的な結果でヴィッツェル氏の正式罷免が決まった。
このあと、ヴィッツェル氏の政治活動禁止期間を決める審理も行われ、10人中9人の委員が5年の政治活動停止に賛成票に票を投じ、これも決まった。ただ1人、アレッシャンドレ・フレイタス州議員(ノーヴォ)だけが、政治活動停止期間を4年間とすることを提案したが、退けられた。
ヴィッツェル氏は罷免審理後、「法的手段に訴えることは諦めた」と語り、「あとは後任に託す」と語った。これを受け、同氏の副知事をつとめ、昨年8月から知事代行をつとめているクラウジオ・カストロ氏(PSC)が正式に知事に昇格。1日には就任式も行っている。
ヴィッツェル氏はリオ地裁判事を18年間つとめた後、汚職撲滅を訴えて2018年のリオ州知事選に出馬。政治経験はなかったものの、ボルソナロ大統領への支持を表明し、当選。知事就任後はボルソナロ大統領と対立し、22年大統領選出馬も狙っていたとされるが、その矢先に疑惑が浮上し、罷免にまで至った。
民政復帰以降、罷免を経験した知事は、ヴィッツェル氏がはじめてだ。ただしリオ州では過去3年間で、モレイラ・フランコ、アントニー・ガロチーニョ、ロジーナ・ガロチーニョ、セルジオ・カブラル、ペゾンの5氏のリオ州知事経験者が続々と逮捕されるなど、激動の状態が続いている。