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《ブラジル》マンデッタ「初期に隔離すれば感染爆発防げた」=大統領はクロロキン固執=次男市議がなぜか会議出席=コロナ禍CPIで元保健相が証言

4日のCPI(Jefferson Rudy)

 4日午前、上院のコロナ禍の議会調査委員会(CPI)では、パンデミックがはじまった当初の保健相だったルイス・エンリケ・マンデッタ氏の喚問を行った。マンデッタ氏は証言で、大統領が保健省とは別のコロナ対策会議を開き、そこに大統領次男のカルロス市議が毎回参加していたことや、大統領が自身の推奨するクロロキンを公認の治療薬にするため、国家衛生監督庁(ANVISA)の基準を変えさせようとしていたことなどを語った。4日付現地サイトが報じている。
 マンデッタ氏は19年1月のボルソナロ政権発足時からの保健相で、20年2月にはじまったブラジルでの新型コロナの感染拡大においては、医師だった体験から、国民にも積極的な外出自粛を呼び掛けるなどして、76%の国民から支持を得ていた。だが、経済活動の継続を強く望むボルソナロ氏と対立し、20年4月に解任に追い込まれた。こうした経緯から、同氏のCPIでの発言はかねてから高い注目を集めていた。
 証言は午前11時頃からはじまり、マンデッタ氏は「最高裁や連邦会計検査院(TCU)、世界保健機関(WHO)とかけあい、コロナ対策について話しあった」としたが、そこにボルソナロ大統領の名は出てこなかった。同氏はさらに、「PCRテスト、再テスト、隔離、調査を対策の中心に据えようとしたが、20年3月は、検査その他の資材の入手が困難で、思うようにテストができなかった」と語った。
 その当時のボルソナロ大統領との関係について尋ねられたマンデッタ氏は、「生死は神の摂理ではあるが、命を預かるのは国だ。だが、この考えに大統領は同意してくれなかった」と答えた。

 マンデッタ氏は大統領との関係に関して、「感染拡大の初期段階で亡くなっていたのは裕福な人たちで、隔離さえ行えば、感染爆発は防げるものだった。私は知事や大統領に、科学に基づいた薦めを可能な限り行った。だが、大統領は高齢者だけの部分隔離を求め、クロロキンの処方を強要しようとした。大統領には部分隔離についての具体的な案はなかった」とも答えた。
 マンデッタ氏はさらに、大統領が保健省とは別のコロナ対策会議に出席していたことを明かし、自身も「(大統領次男の)カルロス氏が参加する会議に何度も出席した」と語った。カルロス氏はリオ市議に過ぎず、連邦政府のコロナ対策には何の権限も持っていない。
 マンデッタ氏は大統領の家族に関しても、「中国との関係は非常にうまくいっていたが、アラウージョ(当時)外相と(大統領三男の)エドゥアルド氏がおかしくした」と述べた。
 マンデッタ氏は大統領に関して、「クロロキンを正式なコロナ治療薬にすべく、ANVISAに規定を変えて承認させようとしたが、ANVISAのアントニオ・バーラ・トーレス長官に断られた」と付け加えた。
 午後2時からはマンデッタ氏の後任のネルソン・タイシ氏が証言を行う予定だったが5日に延期された。5日に召喚予定のエドゥアルド・パズエロ氏は、「コロナの兆候がある」ことを理由にビデオでの参加を申し出たが、委員会側は「隔離期間が必要なら喚問を延ばしても差し支えない」とし、「証言はあくまでも対面で」と主張している。

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