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《ブラジル》中銀=Selicが年3・5%に=予告通り0・75%P引上げ=インフレ高進の抑制に必死

気になる今後の通貨政策(イメージ映像)(Marcello Casal Jr./Agência Brasil)

 中銀の通貨政策委員会(Copom)が5日、経済基本金利(Selic)を0・75%ポイント引き上げ、年3・5%とする事を決めたと5日付現地サイトが報じた。
 Selicは、経済活動が減速、低下している場合は、景気を刺激するために引き下げられ、インフレが高進している場合は、消費過熱を収め、市場に出回る資金の動きを抑制するために引き上げられる。Selicが引き上げられるとローンや融資の返済金利なども上がり、利用を手控える人が出てくるからだ。
 現在のブラジルは国際的なコモディティ価格上昇などによる食料品や燃料の値上がりに伴うインフレ高進の最中で、3月の広範囲消費者物価指数(IPCA)は0・93%上昇、12カ月間の累積は6・10%に達した。
 20年のインフレは4・52%で政府目標中央値の4%は超えたが、上限の5・5%は超えていない。だが、3月時点の12カ月間のIPCAは政府目標上限の5・25%を超えている上、市場関係者のインフレ予測も上昇しており、中銀もインフレ抑制に取り組む必要が生じている。
 Copomは3月の会議でもSelicを0・75%ポイント引き上げており、5月にも同率の引き上げを行うと予告していた。5日の会議では今年のIPCAを5・1%と想定し、今年2度目のSelic引き上げを決めたが、会議終了後には、6月の会議でも同率の引き上げを行う可能性を示唆した。
 大半の市場関係者は、インフレの現状などからSelicの引き上げは不可避と見ていたが、産業界は新型コロナのパンデミックによる経済活動停滞の中でのSelic引き上げへの不満や懸念を隠せない。

 これは、パンデミックの第1波を乗り切るために利用した融資の返済さえ叶わない中でのSelic引き上げで、新たな融資の利用をためらわざるを得ない事などが原因だ。
 産業界は資材や部品の供給不足や価格高騰による生産コスト上昇や生産中断と、消費者物価の上昇と失業者の増加、緊急支援金の支給規模縮小などによる消費活動の低下による経済活動の再開の遅れを案じている。
 だが、連邦政府や中銀は、新型コロナのワクチン接種が進めば外出規制の緩和も進み、経済活動が活性化すると考えており、Selicの引き上げによるネガティヴな影響はある程度抑え込めると見ている。
 3日発表の中銀の経済予測調査「フォーカス」での今年のインフレ予測は4週連続で上方修正され、5・01%が5・04%になった。また、22年末の予想値も、3・60%から3・61%に微調整された。
 今年の国内総生産(GDP)予想成長率は3・09%が3・14%に上方修正されたが、2週間前の3・17%よりは低い。来年の成長率は2・34%が2・31%に下方修正された。
 年末時点のSelicの予想値は5・5%を維持、来年末の予想は6・13%が6・25%に上方修正されている。予想通りなら、6月以降も0・75%ポイントの引き上げが1回か、もう少し低率の引き上げが2回行われる事になる。

★2021年3月19日《ブラジル》Copom=6年ぶりに経済基本金利引き上げ=予想上回る0・75%ポイント
★2021年3月23日《ブラジル》中銀=今年のインフレは4・71%=11週連続の予想引き上げ
★2021年4月21日《ブラジル》フォーカス=インフレ予想がまた上昇=GDP予想は下方修正
★2020年11月20日《ブラジル》難しいSelic判断=インフレ抑制と景気高揚の狭間で=かさむコロナ禍対策費の重み