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《ブラジル》アラウージョ前外相=クロロキン最優先の外交展開=ワクチン関心なしとF紙報道

アラウージョ氏(Valter Campanato)

 3月に辞任した前外相のエルネスト・アラウージョ氏が、コロナウイルスへの効用がないとされるクロロキンの国外からの購入に関し、中心となる役目を担っていた疑惑が浮上した。同氏は上院でのコロナ禍に関する議会調査委員会(CPI)で召喚対象となっている重要人物のひとりだ。10日付フォーリャ紙サイトなどが報じている。
 この事実はフォーリャ紙が入手した外交メールの記録や、外務省関係者らから得た情報などによって判明した。それによると、2020年3月にボルソナロ大統領と交わした電報などでクロロキンやその治療薬化について話した後、アラウージョ前外相が外務省関係者に働きかけ、クロロキンの調達などに動きはじめたという。
 ボルソナロ氏は20年3月21日のメールで、「(サンパウロ市の)アルバート・アインシュタイン病院がクロロキンのコロナウイルスへの効用を試す実験をはじめたそうだ」と語っている。
 ボルソナロ氏はG20の会期中の同月26日、「ブラジルの病院で新型コロナ感染症の患者にヒドロキシクロロキンを使ったところ、非常に良い結果が出た」として治療試験の成功を宣言した。実際にはそのような事実はなかったが、アラウージョ氏はその日のうちにクロロキンの保有国のインドに対し、「国内の在庫がなくなれば、国の保健行政に悪影響を及ぼす」としてクロロキンの輸出を要請している。当時、インドはクロロキンの輸出規制を行っていた。

 アラウージョ氏は翌4月にも、インドのブラジル大使館に対してメールを送り、同国政府が禁じる前にクロロキンの輸出を認めさせ、同薬の売買を正常化させるために働きかけさせた。また、汎米保健機関などにも大量のヒドロキシクロロキンを開放するよう、インド政府に働きかけることを求めている。
 クロロキンに関しては、20年5月19日にブラジル感染学協会など三つの医学団体が、クロロキンを新型コロナ感染症の治療薬として使うことを勧めないとの宣言を出した。クロロキンに関しては、世界保健機関もその効用を認めていないが、アラウージョ氏はクロロキン供給の約束をとりつけることを目的としたメールを送り続けていた。
 その一方、アラウージョ氏はワクチンその他の医薬品入手のための動きはほとんど行っていなかった。とりわけ中国に関しては、大統領三男のエドゥアルド下議の陰謀論騒ぎで同国との関係が悪化して以来、連絡をとっていなかった。中国製のワクチンが承認されており、コロナバックやオックスフォード・ワクチンの原材料(有効成分)の供給国でもあるにもかかわらずだ。
 ブラジル外務省が中国の大使館に対して中国政府に積極的に働きかけるようにとのメールを送ったのは、今年に入って、アストラゼネカ社のワクチン成分の輸出を求めたときだったという。
 アラウージョ氏は13日にCPIで証言を行う予定だ。