サンパウロ州アルジャ市にある日系最大のスポーツクラブ、ニッポン・カントリークラブ(佐々木ヴァルテル会長、以下NCC)は4月25日に総会を開催し、12年間会長を務めた佐々木氏が勇退し、鴨井春海ルーベンス氏(62歳)が新会長に就任した。単一シャッパで24年までの新理事会が決まった。ニッパク紙が6日付けで報じた。
パンデミックの新たな感染の波の勢いが増す中、新会長に就任した鴨井氏は、「新プロジェクトや新たな収益に繋がる事業を考えるのはもちろんですが、根本的な変更は行わず、佐々木前会長から事業を引き継いでいく」との方針を語った。
鴨井新会長は15歳から同クラブに入会し、2001年に文化芸術部長、05年に社会部副部長、09年に社会部長、21年から副会長を務め、クラブが抱える課題を熟知している。
佐々木前会長は「鴨井氏は新人事にあたり、移行後も滞りないよう人も連れて来ている。日本文化のようにスムーズな移行が出来た」と語る。
これまでの自分の仕事について「執行役員や、共に仕事に携わった各部門部長といった有能なチームのお陰でここまで出来た」と感謝と共に振り返った。
佐々木前会長は任期中にNCCの近代化や知名度向上に努めてきた。過去5年間の平均会員数は4千世帯だったところ、昨年1月に実施した新規会員募集キャンペーンでは500世帯の新規会員を獲得している。
佐々木前会長は「会員の減少もありましたが、コロナ禍の困難な時期に残ってくれた会員、新たな入会も獲得できました」とコメントをよせている。
クラブ近代化としては古い建物全ての改修やクラブ全体の管理システムをデジタル化、また若者へのニーズを意識しクラブ全体に最新ワイファイ導入を行ってきた。
佐々木前会長は「コロナ禍となってから会員とのコミュニケーションを維持するために若者たちが重要な役割を担ってくれた」と語る。
NCCには97年に設立し社会文化活動やボランティアを行う「ムヴィメント・ジョヴェン」や、12~18歳で構成される「アカデミア・ド・フトゥーロ」という若者の組織があり、「活動を通して未来のリーダーを育成する場」と佐々木会長は位置づける。
パンデミック以前の2020年には「CONFRA BRASIL HONDA(日系スポーツ親善競技大会)」で、運営のほか海外代表団の受け入れなど大きな役割を担い、若者達の台頭も著しい。
なお、佐々木氏は会長勇退後、5日にNCC評議会長に就任した。