ブラジル北部ロライマ州の先住民居住地で10日、違法な活動を行っている金鉱夫(ガリンペイロ)による襲撃事件が起き、死傷者が出た。また、翌日は同件の捜査を行っていた連警捜査官らも銃撃されたと10~11日付現地サイトなどが報じた。
連警捜査官が襲撃されたのは、ヤノマミ族居住地内のパリミウ部落だ。同部落はウラリコエラ川沿いにあり、10日に起きた襲撃事件の捜査で同地を訪れていた警官達が州都ボア・ヴィスタへの船に乗り込もうとした時、小舟で近づいた金鉱夫達が銃撃を加えた。警官も応戦したが、死傷者は出なかったようだ。
ヤノマミ族の住民団体「ウトゥカラ」などによると、金鉱夫の攻撃は頻繁に起きており、10日の抗争では金鉱夫3人が死亡、金鉱夫4人と先住民1人が負傷した。
10日の事件は、先住民達が小舟で金の採取場に向かう金鉱夫を捕まえた直後、後続の舟に乗った金鉱夫達が銃弾を浴びせたために起き、先住民は弓矢や銃で対抗した。先住民に捕まった鉱夫は国立先住民保護財団(Funai)職員の手で連警に連行され、取り調べ後に釈放された。
ウトゥカラ副会長のダリオ・ヴィトリオ・コペナワ・ヤノマミ氏によると、10日の襲撃は11時半頃に起き、舟7隻で近づいた金鉱夫達との間で約30分間の銃撃戦が発生。先住民が現場で集めた薬きょうには380口径と9ミリ口径のものが混じっていた。
連警が検察庁と軍、Funaiに提出した文書によると、ウトゥカラはこれらの機関に対し、暴行事件頻発を防ぎ、パリミウ部落の安全を保障するよう要請。金鉱夫達は復讐を誓いながら退散しており、住民達は再度の襲撃を恐れている。
Funaiは11日、同件に関する情報には偏りがあると前置き後、連警と協力して状況を観察し、調査を行うと発表。検察庁同州支部は、適切な措置を採るために現場からの情報を待つとしつつ、大量虐殺回避のために金鉱夫を退去させるべく、連邦裁判所に働きかけていると語った。
全国司教会議傘下のインジオ宣教師協議会は、「連邦裁判所は2018~20年、あらゆる手段を講じてヤノマミ族居住地の金鉱夫を即刻かつ完全に退去させるよう命じており、今回の事件は連邦政府の無策の結果」との声明を出した。
ヤノマミ族は2万7千人以上おり、ロライマ、アマゾナスの両州に住んでいる。同族の居住地は1992年制定で、金の採取や精錬は違法だ。同族の半数は金鉱夫達が働く地域から5キロ以内に住んでいる。また、居住地内の金鉱夫は2万人以上と見られている。
陸軍は3月に行ったブラジル・ヴェルデ作戦でヤノマミ族居住地内の金採取、精錬所6カ所を解体、小型機15機を押収したが、金鉱夫と先住民の抗争は続いている。1月に連警が行った作戦では、少なくとも20の違法な滑走路が見つかっており、一部では金鉱夫達はサンパウロ州が本拠の犯罪組織の州都第一コマンド(PCC)の息がかかっていると報じられている。
12日付G1サイトによると、ブラジル国内の61団体は同日、ボルソナロ政権の環境、人権政策と、新型コロナのパンデミックに対する対策を批判する文書を経済開発協力機構(OECD)に提出、ブラジルの同機構入りに反対する姿勢を示した。
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