12日、上院でのコロナ禍の議会調査委員会(CPI)で、ボルソナロ大統領の広報役的役割だった大統領府社会通信局(SECOM)元局長のファビオ・ワインガルテン氏が証言を行った。大統領をかばうことを目的に虚偽の証言を繰り返す同氏に対し、レナン・カリェイロス報告官がしびれを切らして逮捕を命じようとして、大統領派と大騒動を起こすなど委員会は大荒れとなった。12、13日付伯字紙、サイトが報じている。
直接の保健関係者ではないものの、ワインガルテン氏の証言はかねてから注目されていた。それは同氏が、4月28日発売のヴェージャ誌の取材で、連邦政府が昨年8月に米国ファイザー製薬が行った、7千万回分にも及ぶコロナワクチンの提供の申し出を拒否した件に関し、「保健省が無能だったため」とし、保健省だけの責任であるかの発言を行い、物議を醸していたためだ。
12日はさらに、ワインガルテン氏が行った複数の虚偽証言が物議を醸した。ひとつは、昨年3月の「ブラジルは止まれない」キャンペーンだ。これは「コロナウイルスは高齢者だけが重症化する病気で、それ以外の層は普通に働いても問題がない」とするものだ。キャンペーン用のビデオなどの制作はSECOMが行い、連邦政府のサイトに映像やポスターが掲載されたが、リオ地裁の命令で取り下げられている。
ワインガルテン氏は、「自分はこのときにコロナウイルスに感染していたので、これがSECOMによって作られたのかさえ知らなかった」とし、自分の知らない間にエドゥアルド・ルイス・ラモス大統領府秘書室長官(当時)があげたものだと説明した。
だが、この証言は、昨年3月12日、大統領三男エドゥアルド下議のネットでの生放送にワインガルテン氏が出演し、「病気でも働いている」とアピールしていたことから虚偽だと判明した。
ワインガルテン氏はさらに、ヴェージャ誌での取材でも「保健省を無能などとは言っていない」とし、問題となった報道を否定した。
これらの言動を不審視したレナン報告官は、「もし嘘なら逮捕請求を行う」とワインガルテン氏に警告。場内が騒然となった。この際、大統領派のカルラ・ザンベッリ下議がレナン上議に強く抗議した。
だが、この数時間後、ヴェージャ誌がこの取材時の録音を公開。ワインガルテン氏は「保健省は無能だ」という表現を実際に使っていた。
これでレナン氏は逮捕請求の動きに出たが、オマール・アジス委員長が、「これまでにない証言も取れた」として、逮捕請求を止めさせた。
こうして騒ぎは収まったかに見えたが、そこに大統領長男のフラヴィオ上議が現れ、アジス委員長に感謝を示したあと、レナン氏に対し「馬鹿者」と言い放った。これに対し、レナン氏が「馬鹿者とは国の金を盗む者のことだ」とフラヴィオ氏のラシャジーニャ疑惑を皮肉って返答。両者による異例の罵倒合戦となった。