4月に起きたアマゾナス州の連警警部交代劇や不法伐採を行っている製材業者との癒着疑惑などで批判され、検察庁も捜査要請を出していたリカルド・サレス環境相が、法定アマゾンの不法伐採や不法採掘の監視に同伴中と11~13日付現地紙、サイトが報じた。
環境相はパラー州イタイツーバに滞在し、11~15日の監視活動に同伴している。11日付官報によると、同期間中はアルタミラ、イタイツーバ、ウルアラー、ルロポリス、プラカスの各市で監視活動が行われる。
監視活動は、連警や国家治安部隊(FN)、国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)、生物多様性保全のためのシコ・メンデス研究所(ICMBio)が行う。サレス氏には、Ibama院長のエドゥアルド・フォルトゥナト・ビン氏やICMBio所長のフェルナンド・ロレンシニ氏が同伴中だ。
法定アマゾンの保護やそこに住む先住民の人権問題は国際的関心事で、18年の大統領選で当選後、食糧生産のための法定アマゾン開発や先住民居住地での鉱物採掘を擁護するボルソナロ大統領には、国内外から批判の声が出ている。
また、環境省や環境監視団体への予算削減、3~4月の法定アマゾンの森林伐採面積の月間記録更新などは、4月に開催された気候変動サミットで大統領が公言した、不法伐採撲滅などの約束の履行を困難にする。
そんな中で始まったのが今回の監視計画で、13日には、ムンドゥルク族居住地内の金採掘場所有者で、4月から逃亡中だったジルソン・スピエル容疑者(通称ポラキニョ)が逮捕された。
同容疑者は、サレス氏が12日にヘリコプターで現場視察をしているのを見て、警察が作戦を開始したと思い込み、慌てて市街地に逃げ込んだため、所在地が知れ、逮捕された。同容疑者は先住民居住地にショベルカーなどを持ち込み、大々的に採掘を行っていた。不法採掘した金や重機の移動をエスコートしていたヘリも押収された。
同容疑者は3月にも重機を使ってジャカレアカンガ市に近いバウニリャの採掘場に乗り込もうとし、ムンドゥルク族に阻止された。この事件で同地区の緊張は増し、金採掘に賛同する先住民が同族の女性団体の建物を破壊する事件も起きた。
4月22日には連警がイタイツーバ市にある自宅を急襲し、高級車2台などを押収したが、同容疑者は逃亡。以後、捜索が続いていた。
タパジョー地方の鉱物の不法採掘は昔から行われていたが、ボルソナロ大統領の擁護発言と金の価格上昇で急増中だ。昨年8月にはムンドゥルク族が空軍機でブラジリアを訪れ、先住民居住地での鉱物採掘について議論したが、検察庁はこの旅行についても捜査中だ。
環境相は12日のジャマンシン市での不法採掘摘発に同行し、重機やコンピューターなどの破壊に立ち会った。13日はイタイツーバでの不法伐採された木材没収にも参加した。監視団体は重機類破壊を再犯防止手段としているが、現政権は重機破壊や不法伐採の木材没収は不当行為と批判。木材返却も命じていた。
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