ホーム | ブラジル国内ニュース | 《リオ》ボルソナロがバイク大行進デモ=1万人以上集まるマスクなし政治集会=第2波の真っ最中、翌日に死者45万人超えへ

《リオ》ボルソナロがバイク大行進デモ=1万人以上集まるマスクなし政治集会=第2波の真っ最中、翌日に死者45万人超えへ

バイク乗りの支持者を引き連れてデモ行進するボルソナロ大統領(Alan Santos/PR)

マスクなしで支持者に囲まれている様子(Alan Santos/PR)

 ボルソナロ大統領は23日、リオで支持者を集めてマスクなしのバイク大行進デモで行った。大統領は21日にもマラニョン州でのマスクなしの集会で密を作り、同州から罰金処分を受けたばかりである上に、先週のコロナ禍に対する上院の議会調査委員会(CPI)で渦中の人物となったばかりのエドゥアルド・パズエロ前保健相も参加。国民やCPI、パズエロ氏の所属する陸軍などの間で大きな波紋が広がっている。23、24日付現地紙、サイトが報じている。
 23日午前、ボルソナロ大統領はリオ市で、支持者らと共にマスク着用なしのバイク行進デモを行った。このイベントはリオ市も協力していた。集まった支持者は1万人から1万5千人と報じられている。
 この3日前、木曜恒例のネットでの生放送で大統領は「コロナのような症状がまた出始めているからクロロキンを飲んで直す」と、再感染をにおわせる発言を行っていた。
 大統領は2日前の21日には、政敵のフラヴィオ・ジノ氏(ブラジル共産党・PCdoB)が知事を務めるマラニョン州のアサイランジアで支持者を集めて自身のキャンペーンを敢行。これに対して、ジノ知事がボルソナロ氏に罰金を科した上、州の外出自粛規制を破ったとして、15日以内の事情説明を求める事態に発展していた。
 23日の問題はさらに、バイク行進が終わった後にも起こった。大統領が演説を行った際、その傍らにはエドゥアルド・パズエロ前保健相の姿があった。パズエロ氏は1月にアマゾナス州マナウスで起きた医療崩壊などで責任を問われており、4月に開設された上院のコロナ禍CPIでも渦中の人物で、19、20日に行ったCPIでの証言でも、「15回嘘をついた」と問題視された直後だ。

23日のボルソナロ氏とパズエロ氏(Fernand Frazao)

 パズエロ氏はこの壇上で、自らもマイクを持って話をしたが、このときの同氏はマスク着用もしていなかった。CPIでは「コロナ対策につとめた」「大統領からの自分の判断への圧力はなかった」との発言を行っていたが、それと矛盾する行動となった。
 このバイク行進のあと、国民からは「45万人にもおよぶ国民の死を祝いたいのか」との怒りの声が殺到。大統領罷免を求める声も多くあがり、鍋を叩いて抗議を行う「パネラッソ」も起こった。
 パズエロ氏が現役中将であることから、陸軍も今回の行動を問題視している。それは、現役軍人が政治的なイベントに参加することは禁じらているのに、軍に内緒でイベントに参加し、軍の規則を破ったためだ。すでに軍は、パズエロ氏を辞めさせ、予備役にすることを検討しているという。
 今回の件はコロナ禍CPIでも問題となっている。オマール・アジス委員長は24日、パズエロ氏再召喚の意思を改めて強調し、「今度嘘をついたら、今度は刑務所だ」と語気を強めた。同委員長は22日にすでに再召喚の意思を表明しており、その際も「今度は黙秘権なしだ」との姿勢を見せていた。
 また、今回の行進後、ボルソナロ氏に対しても、CPIが連邦検察庁に大統領起訴を求める可能性が高まったと報じるメディアも出てきている。

★2020年4月21日《ブラジル》写真グラフ=外出自粛中に盛大に抗議デモ=反隔離派がパウリスタ大通りに集結

★2021年5月11日《記者コラム》CPIで追い詰められて過激化するボルソナロ

★2021年4月30日《ブラジル》コロナ死者が40万人に=30万人突破からわずか36日で=欧州議会でもボルソナロ大統領批判続出