農務相と通信省が19日、農地にインターネットを導入すると26年までの総生産量・産出額(生産グロス価格、VBT)が最大1千億レアル増えるという、サンパウロ総合大学傘下のルイス・デ・ケイロス農業大学の研究結果を発表したと同日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
インターネット導入によるVBT増加額は導入規模によって異なり、2~4Gなら、導入規模が48%になるとVBTが475億6千万レアル、90%になると1014億7千万レアル増えるという。現在のVBTは1兆570億レアルだ。
アクセス率を48%にするには、2年以内に携帯電話用のシグナルを送受信する塔4400基を近代化する必要がある。90%にするには4年以内に1万5182基の塔増設が必要となる。
農務省と通信省が検討中のプロジェクトでは、北部と北東部の10州134市にある156のコミュニティや土地なし農民の定住地を連結する。これらのコミュニティや定住地には光ファイバーやアンテナはない。
これらのコミュニティや定住地にインターネットを導入すれば、農業生産者や農場で働く人達のための遠隔授業や、オンラインでの講座の受講、農地の様子の監視や技術指導などのリモート支援などが可能となる。
クリスチーナ農相は研究結果報告に際し、「農業生産者はテクノロジーを駆使した生産支援を望んでおり、新たな技術受け入れへの体制や気概もある。インターネット環境が整えば技術革新が可能となり、農地と大都市を結び付ける事もできる」と語った。
人工衛星を介する場合は、ケーブルなどを使わなくてもコミュニティにシグナルを転送できる受信装置が必要だ。現在設置済みの受信装置は、アラゴアス、マラニョン、マット・グロッソ、マット・グロッソ・ド・スル、パラー、パライバ、セルジッペの7州51カ所にある。インターネット接続の対象コミュニティは人間開発指数(HDI)で決められる。
農村地帯へのインターネット導入には、放送スペクトルの間隙を縫い、ラジオやテレビ同様の波を使ってインターネットを提供する方法も使用できる。この場合はSNSを介した文字や音声によるメッセージのやり取りしかできず、国家電気通信庁の規定に縛られる。
下半期に入札予定の5Gを使う場合は、土壌や植物、動物に設置したセンサーがリアルタイムの情報を集め、生産者が決断を下すのを助けるシステムに送ってくるので、デジタル農業が現実のものとなる。
通信省は4Gによるパイロットプランを、農村部の8件を含む20件、展開中だ。5Gの入札で落札した企業には、600人以上の自治体や高速道沿いでのインターネット接続を保証する事が義務付けられる。通信インフラを整えるため、農務省は電気通信サービス全般化基金の運営審議会への参加も願っている。
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