ボルソナロ大統領が23日、エクアドルに向かい、24日午前中に持たれたギジェルモ・ラッソ氏の大統領就任式に出席したと23、24日付G1サイト、24日付コレイオ・ブラジリエンセ・サイトなどが報じた。
ボルソナロ大統領は23日の朝、リオ市で行ったバイクでの行進で、マスクも着けず、密を作るという、保健省が打ち出した方針とは真逆の行動を行った後、世界保健機関(WHO)によるパンデミック宣言後初の国外旅行の途に就いた。
ボルソナロ氏やその一行は専用機内でもマスクを着けていなかったが、エクアドルに着いた時にはさすがにマスクを着用した。出発前はマスクなぞそっちのけで、到着後に慌てて装着という姿は、エルネスト・アラウージョ元外相らがイスラエルを訪問した時にも見られた。
ラッソ氏の就任式はブラジリア時間の12時からで、ボルソナロ氏一行は、外国人首脳を歓迎する昼食会に参加後に帰国する。
ラッソ氏の最大課題は新型コロナのパンデミックなどでより困窮している同国の経済の立て直しで、就任式の演説でも、「失業率はかつてない程高く、国民は荒ぶるコロナ禍を前になす術もない状態に置かれている。飢えが国民を襲い、栄養失調を起こしている度合いは域内でも高い。青少年のための教育や就業の機会は奪われ、女性は存続の危機にさらされている」といった表現で、前任者らがエクアドルの歴史にふさわしい政治を行ってこなかったと批判しつつ、困難な壁に立ち向かう覚悟を示した。
ラッソ氏は右派である事が、ボルソナロ氏が就任式に出席した主な理由と言えそうだ。だが、リオ市でのバイクでのデモ行進ではマスクを使っていなかった同氏が、エクアドルに着いた途端にマスクを着用した事は、ブラジル国内からの批判の的ともなった。
その一例は、「ボルソナロ氏は国内ではマスクを使わないのに、エクアドルでは早速使っている。これは、ブラジル人の命は何とも思っていない証拠だ」といったものだ。
保健省は国民の命を守るため、マスク着用や社会的な距離の確保といったコロナ対策を強調し、感染予防キャンペーンも行っているのに、大統領には国民の命を守る気はない事は、「コロナのような症状がまた出始めているからクロロキンを飲んで直す」といった直後に、1万人を超える支持者を集めてバイクでのデモ行進を行った事でも明らかだといわれそうだ。
また、感染の可能性がある人物が外国人首脳も集まる大統領就任式に出席したとなれば、国際問題にもなりかねない。
今回の大統領就任式には、ボルソナロ大統領、カルロス・フランサ外相と、エドゥアルド・ボルソナロ、フェリペ・バロス、マルコス・フェリシアの3下議が参加した。