1日、上院のコロナ禍に関する議会調査委員会(CPI)は、日系女性医師のニゼ・ヤマグチ氏を招待して行われた。クロロキン推奨派の医師で、ボルソナロ大統領との保健省外の「影の委員会」への参加がすでに報じられている同氏は、この席で相次ぐ虚偽証言を繰り返し、物議を醸した。1日付現地紙サイトが報じている。
ヤマグチ氏はボルソナロ大統領がコロナ治療薬として推奨しようとしていたクロロキンの使用を支持する医師として知られる。昨年4月には、当時のルイス・エンリケ・マンデッタ保健相が解任された際、後任候補として名前も挙がった。同医師の存在はこのCPIでも、「ボルソナロ大統領の影の委員会の参加者のひとり」として注目されていた。
ヤマグチ氏はこの日のCPIに「招待者」の資格で出席しており、「ボルソナロ大統領とは個人的には会ったことはなく、連邦政府のスタッフとコロナの早期治療について少し話をしただけ」と語った。さらに、「影の委員会の存在など知らない」と語った。
だが、複数の報道ではすでに、ヤマグチ氏が公式記録だけで6回、「影の委員会」と見なされる会議に参加していたことが判明している。招待は召喚とは違い、虚偽の証言を行っても懲罰の対象とはならない。だが、同氏の証言を不服とする委員たちが再証言を求めた場合は、間違いなく「証人」として召喚される。
さらに、委員から、ボルソナロ大統領と会食をした報道について尋ねられると、ヤマグチ氏は「覚えていない。確認する」と話し、「ボルソナロ氏とは4回会ったが、いつも他の官僚を伴うもので、ワクチンの話などはしていない」と証言を変えた。さらに「独立した委員会ならあった」と語り、「影の委員会」への参加疑惑のあった企業家のカルロス・ウィザルジ氏の参加を認めた。
また、レナン・カリェイロス報告官が、過去に「50%の感染率で集団免疫ができる」と語った映像を流し、「まだ信じているか」と尋ねると、ヤマグチ氏は説明しようと試みたが、医師の資格を持つロジェリオ・デ・カルヴァーリョ上議から「虚報を流さないように」と言って遮られた。
こうした答弁の繰り返しにオマール・アジス委員長は苛立ちを隠せず、ヤマグチ氏に対し、「あなたは今後、召喚されることはあっても、ここに招待されることはない」と言い放つ場面も。
その後もヤマグチ氏の証言は、虚偽を交えたあやふやなものが目立った。同氏は「現在、クロロキンによるコロナの早期治療が行われている国をあげよ」との質問に対し、「キューバ」と答え、間違いを修正されると、「ではメキシコとベネズエラだ」と答えた。ところがメキシコでそうした事実はなかった。
さらにヤマグチ氏は自身に向けられた「クロロキンを治療薬として認めさせようと規定を変えることを求める文書を作成した」との疑惑に関し、証言を行ったルイス・エンリケ・マンデッタ元保健相と国家衛生監督庁(ANVISA)のバーラ・トーレス長官を「嘘をついている」と批判した。それに対してはレナン報告官から、「少なくともバーラ・トーレス氏は書類を提示しているが」と反論された。
★2021年5月28日《ブラジル》コロナ禍CPI「世界最初の接種国にもなれた」ブタンタン所長、政府の無策批判=「開発生産に支援ゼロ」と冷遇=ワクチン供給に遅れ招く
★2021年5月28日《ブラジル》大統領や政権の評価が低下=CPI本格化後初の調査で
★2021年5月26日《ブラジル》コロナ禍CPI「クロロキン女隊長」矛盾連発=パズエロ証言と噛み合わず=アプリ削除の真相は闇の中=同薬擁護発言に上議反発