ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》アマゾナス州知事らに捜査=州保健局の不正疑惑で=容疑者宅前で銃撃戦騒ぎも=パズエロの疑惑の役職就任翌日

《ブラジル》アマゾナス州知事らに捜査=州保健局の不正疑惑で=容疑者宅前で銃撃戦騒ぎも=パズエロの疑惑の役職就任翌日

リマ・アマゾナス州知事(Twitter)

 2日、アマゾナス州でウィルソン・リマ州知事らを対象とした汚職摘発捜査が行われ、州保健局などが捜査を受けた。州都マナウス市では1月に医療崩壊が起きており、現在、上院で審議中のコロナ禍議員調査委員会(CPI)でも議題の中心となっている最中だ。捜査の際には、容疑者一家と連警との間で銃撃戦も行われた。その一方、同問題での責任が問われているエドァウルド・パズエロ前保健相は1日、不逮捕の特権がある大統領府の要職に任命されることが発表され、物議を醸している。2日付現地サイトが報じている。
 今回の捜査は連邦警察の「サングリア作戦」第4弾で、対象となったのは、マナウス市のニウトン・リンス臨時病院に関する不正疑惑だ。同病院はアマゾナス州との契約で昨年4月に開設され、地元企業家一家が所有する私立大学の付属病院的な存在だ。
 この病院は今年1月にコロナ患者の受け入れを再開したが、その直後から、人工呼吸器を使用する際に必要な酸素の供給や医療用の資材の供給、人員面などに問題があり、契約した数の病床が使えなかった。
 院内での感染拡大を防ぐための設備や設計面での不備などもあり、コロナ禍での病院運営では不可欠の、液体石鹸やアルコールといった衛生用品さえ、充分に補給されていなかったことや、入札が終わる前に物資供給業者の発表が行われるなど、何らかの不正があったことが疑われている。
 同件を担当する連邦検察庁のリンドーラ・アラウジョ副長官は、「州が病院との契約を行う際に不正があり、契約のグループ企業が特別な恩恵をこうむった」としている。

 この捜査の対象は、ウィルソン・リマ知事とマルセルス・カンペロ州保健局長などで、カンペロ局長や企業家のニウトン・コスタ・リンス・ジュニオル氏など、計6人への逮捕令状と、19件の家宅捜査令状が出た。アラウージョ氏によると、カンペロ氏は逃亡状態だという。
 ニウトン・リンス氏の息子は自宅に訪れた連警に発砲し、銃撃戦を行ったことが報じられている。ニウトン・リンス氏は自分が経営する大学の事務局が、「スウェーデン名誉領事館」を拝命していることからそこに逃げ込んだが、あえなく逮捕された。
 ニウトン・リンス氏はマナウスでは有名な富豪で、ニウトン・リンス大学の経営などで知られている。今年1月には、24歳の双子の娘がマナウス市の市長から臨時病院での勤務を命じられた直後に、当時はじまったばかりのコロナワクチンの接種を受けて問題となり、懲戒免職を受ける騒ぎも起きていた。
 今回の捜査の注目点は、上院のCPIでマナウス市の医療崩壊の責任が問われている最中に起こったことだ。CPIでの形勢はボルソナロ大統領やパズエロ前保健相に不利な展開で進んでいるが、連邦政府側の委員は、その責任を州知事らに向けるよう働きかけていた。
 この前日の1日、連邦政府はパズエロ氏を大統領府の戦略研究局長に任命した。この任命は、3月に保健相を辞任したことで不逮捕特権を失ったパズエロ氏をかばうためのものと見る向きが強い。パズエロ氏は現役軍人でありながら、大統領が4月23日にリオ市で行った約1万人の支持者を引き連れてのバイク・デモに参加しており、なんらかの処分が下されることが必至と見られている
 現状ではまだ、この役職に就いたことでパズエロ氏の不逮捕特権が保証されたか否かは定かではない。
 この捜査の直後、上院CPIはリマ知事の召喚を早める意向を発表している。