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《ブラジル》「影の委員会」証拠ビデオが流出=テラ下議やヤマグチ医師参加

「影の委員会」の証拠映像(Facebook)

 上院のコロナ禍議会調査委員会(CPI)で話題となっていた、ボルソナロ大統領自身も参加していたという疑惑が浮上していた保健省外の「影の委員会」の会議を映したものと思しきビデオが流出し、物議を醸している。4、5日付現地紙、サイトが報じている。
 このビデオは4日、報道サイト「メトロポレス」が流したものだ。それは、ボルソナロ大統領自身が昨年の9月初旬に自身のフェイスブックのアカウントから生放送で流したもの。
 この会議にはボルソナロ大統領のほか、同氏がコロナに関する意見の参照にしていた、コロナ否定論者の医師で元市民相のオズマール・テラ下議、ニゼ・ヤマグチ医師、ウイルス学者のパオロ・ザノット氏が参加していた。
 この会議の席でザノット氏は、「私は連邦政府に影の委員会を作ることの手伝いをしたい」とし、「影の委員会」(shadow cabinet)という言葉を実際に使っていた。ヤマグチ氏は1日のCPIで、「影の委員会の存在など知らない」と証言していた。
 ザノット氏はそれに加えて、大統領特別補佐官のアルトゥール・ウェイントラウビ氏が、医師たちと大統領を結びつける役割を果たしたことも話している。ウェイントラウビ氏はこの影の委員会に関して、CPIで証言を求められている。

 このときの会議は、「クロロキンがいかにコロナワクチンより効果があるか」という論議で、各人が意見を求められていた。これに対してザノット氏は、「ワクチンはまだどこも第3段階の治験を行っているにすぎない」としてクロロキンの有効性を主張していた。
 また、ボルソナロ氏は、この直前に下院で承認されていた、「米国や欧州、日本や中国で承認されたワクチンに関して、国家衛生監督庁(ANVISA)が72時間以内に緊急使用の審議を行わない場合、自動的にブラジルでの使用が了承される」という法案に拒否権を出したことをビデオの中で主張していた。
 この前月、米国のファイザー製薬はブラジルの連邦政府にワクチン提供の打診を行っていたが、無視され続けていた。
 テラ氏は大統領に対して、世界的にコロナへの効用が証明されていないクロロキンの効用を語っていた。テラ氏はコロナの重篤さを過小評価し、「コロナの死者は豚インフルより少ない」と語ってはずれた上、昨年5月のマンデッタ元保健相との討論会でも、「大騒ぎして外出自粛までやったが、死者はたった1万人じゃないか」と発言して批判されている。