鉄鋼大手のVale社が4日、ミナス州マリアナ市のアレグリア鉱山シングーダム周辺でのヴィトリア~ミナス鉄道の運行その他の活動を停止すると発表したと同日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
同社によると、この決定はミナス州労働検察局の行政指導に従ったものだ。同鉱山で採掘した鉄鉱石は、オウロ・プレット市のチンボペバ製鉄所で加工されており、鉄鉱石を運ぶ鉄道の運行停止に伴い、アレグリア鉱山での採掘活動とチンボペバ製鉄所の生産活動も停止される。
アレグリア鉱山では7500トン/日の鉄鉱石が採掘されており、チンボペバ製鉄所では鉄鉱石の微粉が3万3千トン/日作られる。鉄鉱石の微粉はペレット状に凝集させた後、炉で固めから、高炉や鉄還元プラントに供給される。
活動停止が命じられた理由は公表されていないが、シングー・ダムの危険度を示すレベルは3段階中の2とされており、ダムが決壊した場合に鉱滓などが流出する可能性のある地域の住民を退去させるなどの措置を講じる必要がある。
Vale社は活動停止を発表すると共に、「従業員や周辺地域のコミュニティの人々の安全を確保するために必要な対策は全て講じており、少しでも早く活動を再開できるよう、努めている」という声明を出した。
また、「同ダムでは毎日の監視活動を続けており、ダム決壊の危険性はない」とも語った。
Vale社は、2019年に起き、270人の死者を出したブルマジーニョ市でのダム決壊事故以降、監視活動を強化しており、既存のダムの取り壊しや用途変更などを前倒しで進めている。
これらの動きは、国家工業庁(ANM)や検察局その他の機関による、きめ細かい監査活動の結果だ。特に、決壊の危険性が高い構造のダムに対しては、早急に機能を停止して整地を行うなどの行政指導が行われている。
ANMなどの監視活動が強化された事で、安全性のレベルが見直されるダムも出ている。安全性に問題があるとみなされたダムは、危険レベル1と判断された時点で活動停止となる。また、レベル2か3と判断された時は、決壊時に備えた住民退避などの措置を講じる事が義務付けられる。
★2020年1月25日《ブラジル》ブルマジーニョの鉱滓ダム決壊事故から1年=地域や住民の苦しみは続く
★2019年11月6日《ブラジル》ミナス州マリアナの鉱滓ダム決壊から4年=賠償合意成立は4分の1=健康被害認定で戦う母も
★2019年8月16日《ブラジル》ブルマジーニョの住民に退避命令=別会社のダム決壊の可能性
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