何が本当の「正義」なのか?――魔法と謎に満ちた中世を舞台に「本当の自分」を探求し、「真の正義」や「公正」について追求していく姿を描くファンタジー短編オムニバス小説「Contos de Além dos Olhos」が今年1月発売された。ニッパク紙3日付が報じた。
191ページ、6篇の短編が収録された同書の著者は岸川マグナス・タケミツさん。父・岸川ジョルジさんが代表を務める二天古武道研究所で古武道と、学業に励む若干16歳の青年だ。
短編小説の執筆に力を入れ始めたのは2019年、高校に入学した後の10月、きっかけのひとつは風邪だった。「風邪で3日間学校を休み、久々に登校するとクラスメイトがポルトガル語の課題で短編小説を書いていた」のが目に止まり、「感動し、遅くなってもいいから課題をやりたい」と筆を執った。
13歳の時、学校のグループ課題で友人のペドロさんと共に9ページの短編を作った経験があるマグナスさん。冗談のつもりで「その2倍のページを書こう」と軽く考え、「実際に18ページをぎっしり埋め尽くした原稿を完成させました」と振り返る。
「現代の世界に向けてメッセージを込めた」という同作品。執筆は勉強とうまく両立させるのに苦労した。「週末だけのつもりが、筆がのりすぎて授業中に書いていた事もあった」と打ち明ける。
出来上がった作品に自身でも「びっくりした」と同時に「もっと時間をかけたら、いくつかの物語を発展させる事ができたのでは」と冷静に分析している。
「中世をテーマにした点も騎士道精神や、価値観・舞台設定の面でもとても気に入っています。ファンタジーを書くのは楽しく、現実が厳しい時代にこそ想像力が大切」と語る。
キャラクターのインスピレーションなどを「父から伝授された剣の教えや、日本文化などから得ました。いつも厳しい父親がサポートしてくれた」と説明する。
父の岸川さんは「二天ではペンと刀の両立を推奨しています。息子はサムライの刀を鍛えるだけでなく、ペンの路にも進んでいることはとても嬉しく、誇りに思います」と喜ぶ。「文学的価値以上に、執筆が様々な意味で自身を克服する手段だったのではと思う。彼の人生にとってすばらしい経験になったはず」と頷く。
現在も新たに5本の作品を執筆中で、いずれもファンタジー作品。同書に収録された短編集と同じ世界観のものや、20世紀初頭や中頃を舞台にしたものを構想し鋭意執筆中だという。