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母を失った傷心を少し癒した何気ない一言

思いがけない店員の対応に感動した男性の話を報じる13日付G1サイトの記事の一部

思いがけない店員の対応に感動した男性の話を報じる13日付G1サイトの記事の一部

 数日前に母親をコロナ感染症で失った男性が、携帯電話のワッツアップでピッツァを頼んだ際、店員からの言葉に心癒された話を読んだ。
 母一人、子一人で暮らしていた男性にとり、母を失った悲しみや寂しさはどれほど大きかった事か。まして、死後4日では、「とにかく何か食べねば」という思いだけでメッセージを送った事が想像できる。
 なじみのピッツァ店のワッツアップ番号に注文を頼んだ男性は、「皆、元気?」との問いに「元気ですよ。あなたは?」と聞き返され、「母を亡くして、落ち込んでいるんだ」と書き込んだ。
 これを見た店員は、注文を確認後、「今日はお代は結構です」「お気持ちはわかります。大変でしょうが、神様に信頼して(委ねて)下さい。お母さんは星になってあなたの事を見守ってくれていますよ」「何か話したくなったら私達もここにいますからね」と書き込んだ。
 思いがけない言葉に慰めを得て感動した男性が、そのやり取りをSNSに掲載すると、多くの人がそれをシェアし、店員をほめそやしたという。
 自分も祖母を亡くした時、「ご愁傷様」という決まり文句以上の言葉を聞きたいと思ったという経験から、男性の心が癒される事を願ってやり取りしたという店員は、反響の大きさに驚いた。
 自分も辛い経験をした筈なのに、いつも攻撃的で、人を傷つけるような言葉しか話せない人もいる。だが、自分の経験を顧み、否、何もなくても常に、相手を思いやる事ができる人もいる。
 人を追い詰め、打ちのめしたがる人もいるが、常に誰かの傍に立ち、慰め、励まし、立ち上がらせる人もいる。人生で大切な事は、いかに多くを得たかではなく、どれだけ多く与えたかだと思う。
 ブラジルのコロナ犠牲者は15日に49万人を超えた。その他の理由も含めれば、数えきれないほどの人が、身近な人を失い、悲しみや寂しさと戦っている。
 半ば涙で読んだ後、全ての人に手を差し伸べる事は無理でも、せめて、目の前の人を慰め、立ち上がらせる言葉を贈れるようになりたいとの願いを改めて胸に刻んだ。(み)