ブラジル初の新型コロナによる死者が確認されたのは昨年の3月16日だが、昨年中と今年とでは死者の年齢構成が変化しており、ワクチン接種が進んでいる事やその効果が認められると18日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
新型コロナの疑似症患者や感染が確認された人のデータや登記所のデータによると、昨年の死者は60歳以上が70~80%を占めていたが、今年3月は59歳以下(60歳未満)の人が過半数を占めていたという。
重篤な呼吸器系疾患に関するデータを集計している、オズワルド・クルス財団(Fiocruz)のInfoGripeコーディネーターのマルセロ・ゴメス氏は、死者の年齢構成の変化の要因を二つ挙げる。
要因の第一はワクチン接種が進んでいる事だ。コロナワクチンの接種は1月に始まり、医療関係者や高齢者らが最初の接種対象とされた。
同氏によると、現在は70歳以上の人への2度目の接種が進んでいるところで、80歳以上だと2度目の接種を受けてから20日以上経った人が80%いる。60歳以上は初回接種だけの人が大半だ。従来の死者は70歳以上が占める割合が高かったため、ワクチン接種が進んでいる事で死者に占める高齢者の割合が減っているのだという。
もう一つの要因は、若い人の方が外出する機会が多く、感染する危険性が高い事だ。変異株による感染再燃が顕著になった2月以降は特に、外出する機会が多くてウイルスにさらされる人ほど感染しやすくなり、若い人の感染や入院、死亡が増えたという。
InfoGripeのデータによると、2021年は、ウイルスによる感染を確認するテストを受けて陽性だった人の96・1%が新型コロナに感染していたという。昨年は新型コロナへの感染死者が98%を占めた。
また、今年はウイルス感染率が全国的に上昇しており、その事も若い年齢層の死者の割合を押し上げている。変異株は感染力がより強く、感染者数が増えているが、現時点では致死率の高さに関する確定したデータは出ていないという。
ゴメス氏は、4月以降は感染者や死者の数は3月より減っているが、3月はピークだったため、比較対象の基準にはならないし、数が減ったと安心してはならないとも強調。また、予防接種の効果が出始めたとはいえ、予防接種は完全な武器ではないし、2度目の接種も受けた人はごく一部だから、「普通の生活」に戻るのはまだ先として、気を緩めてはならないとも語る。
感染が再拡大している事は様々な数字からも明らかで、ウイルス感染による呼吸器系疾患の発生状況がパンデミック前の状態に戻るまでは、マスクの着用や手指消毒、社会的な距離の確保といった防疫上の措置を継続するようにも求めた。
ペロタス連邦大学は17日、ワクチン接種開始以後の13週間で4万人以上の高齢者の死が回避できたとの研究結果も発表している。