13日の日曜日、それは突然訪れた。この日、サンパウロ州が50代のワクチン接種予定を突如、「16日からにする」との発表を行った。まず、これに面食らった。
当初の予定では50代のワクチン接種は8月2日から。対象者となるコラム子はその心積りでいたのが、突然「数日後」になったわけだ。
ちょうど現在、州内でコロナ第3波が話題になっていたタイミングだったので「ありがたい」とは思ったが、「情報聞き逃さないでラッキーだったな」というのが正直な気持ちだった。
そこからは逐一、自分の接種日がいつになるのかネットで毎日チェックしたが、それでも驚くことは少なくなかった。まず翌14日、サンパウロ市のサイトで、16日からのはずの接種開始が、この日に前倒されたことを知った。幸いこの日はコラム子の対象日ではなかったが、もし16日のつもりでそのままにしていた人は困ったことだろう。
混乱が起きぬよう、具体的な年齢で接種対象者を市が振り分けた結果、コラム子は土曜日の19日となった。「よかった。勤務日と重ならなかった」とホッとしたはずだった。
だが、この日の接種がちょっとした一苦労だった。聖市南部に住むコラム子の自宅から歩いて5分のショッピング・センターはドライブスルー接種会場に指定されていた。
妻もすでにそこで接種を終えていたから勝手もわかって楽なはずだった。だが、妻の運転する車に乗っていざ会場に着いてみると「ワクチンが在庫切れで接種ができない」と言われ愕然とした。
仕方なく、そこから車で5分くらいの距離にある大型薬局に行ったが、そこでも在庫切れと言われた。
そこから、モルンビ・スタジアムのドライブスルーに行くことも考えたが、妻が両親に聞いてもっと近場のUBSを聞きつけ、直行した。
すると、コラム子が過去に足を踏み入れたことのない場所にあったそのUBS前には長蛇の行列ができていた。妻は子供の昼食を理由にコラム子を現地に置いて帰宅した。
「ワクチンの在庫切れさえなければ、こんな面倒なことには」と多少憤ったが、幸いにして回転は悪くなく、1時間足らずで無事にアストラゼネカのワクチン接種を終えた。
あとから聞いた話によると、19日から22日にかけてワクチン不足に陥ったのはコラム子の地元だけではなく、市内の300会場以上で起こったことだったという。
「そんな状況で受けられなかった人は続出しなかったのか」との疑問が浮かんだが、それでも市の発表では、市内140万人いる50代のうちの9割方は、その唐突な1週間ほどの期間で接種できたというから、計画はうまくいったということなのだろう。
「要領は悪いがなんとかなる」。なんとも伯国式な接種スケジュールだった。(陽)