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《ブラジル》バロス下議=ワクチン不正契約がもうひとつ?=中国ワクチンにマリンガ企業絡む

バロス氏(Jose Cruz)

 インドのコロナワクチン「コバクシン」の不正契約の関与疑惑が浮上したリカルド・バロス下議に、別のコロナワクチンでも不正契約疑惑が浮上した。28日付現地紙が報じている。
 27日、グローボ紙とラジオのCBN局は、バロス氏と関わりのある企業を仲介し、入札を行わずに中国カンシノ社のコロナワクチンの購入契約を結ぶ意向を示す書類(carta de intenção)に、保健省が今月4日サインしていたと報じた。その額は6千万回分で約50億レアル(ワクチンの単価は17ドル)で、それまでブラジルが契約したワクチンで最も高かったコバクシンの15ドルを上回る額だ。
 仲介に入った企業は、「ベルシェル・ファルマセウチカ・ド・ブラジル」という、パラナ州マリンガに拠点を置く製薬会社だ。
 同社は、バロス氏がマリンガ市長をつとめていた時代(1989〜92年)から懇意にしていたことで知られている。
 さらに、ボルソナロ大統領支持派の企業家として知られるルシアノ・ハン氏とカルロス・ウィザルジ氏が、同社によるワクチン販売のための支援を行っている。ハン、ウィザルジの両氏は今年の3月、ベルシェルの共同経営者のひとりのエマヌエル・カトーリ氏と共に、ブラジルへのワクチン販売に関してネット生放送を行っている。

 ベルシェル社は、連邦直轄区で行われたコロナウイルスの検査薬での不正を取り締まる捜査「ファルソ・ネガチーボ作戦」でも捜査対象になっている。
 それに加え、ボルソナロ大統領が今年の5月初旬に、バロス氏の妻で前パラナ州知事でもあるシーダ・ボルゲッティ氏を、パラグアイとの共同経営のイタイプ・ダム公社の経営審議会のメンバーに指名していたことも明らかになった。
 この指名は、ルイス・ミランダ下議がコバクシン契約での不正をボルソナロ大統領に直訴した約40日後に行われている。大統領はミランダ氏が直訴した時点で、コバクシンの契約にバロス氏が関与していたことをすでに知っていたはずとして、問題となっている。
 上院のコロナ禍CPIは、コバクシンに加え、カンシノの件も捜査対象に加える意向を示している。