【既報関連】国家電力庁(Aneel)が29日、火力発電を多用した場合の電気代追徴金中、最も高額で現在適用中の「赤旗2」を、100キロワット時あたり9・49レアルに52%も引き上げる事を承認したと同日付現地サイトが報じた。
電気代の追徴金額は、水力発電だけで十分な場合を示す緑旗と、黄旗、赤旗1、赤旗2の四つに分けて徴収される。黄以下の適用は火力発電所の稼働率によって決まる。
今年は、水力発電所が最も多い中西部から南東部にかけての雨が例年になく少なく、「91年間で最大の水危機」と繰り返し報じられている。
同地域での少雨は全国電力システム運営機構(ONS)のデータでも明らか。水力発電の70・1%を占める中西部と南東部では、22日現在の水力発電所のダム貯水量が29・83%まで低下。ダムの貯水量はその後も減り続けている。
これに対し、水力発電の17・8%を占める北東部の貯水量は60・15%、6・9%を占める南部は61・45%、5・2%を占める北部は83・29%でまだ余力がある。
Aneelは、水危機が叫ばれ始めてからも常に、(2001年のような)電力不足や輪番制の電力供給はないとしてきたが、水力発電所のダム貯水量の低下や、飲用水や灌漑用水の不足を防ぐための火力発電多用は避けがたいのが現状だ。
また、現在は01年の頃よりも電力供給システムが整備されており、水力発電への依存率は低いとしている。だが、電力不足を否定する一方で、正規の契約を交わしていない火力発電所からも電力を購入するなどして電力確保に躍起になっている事は周知の事実だ。
火力発電所の稼働率が高まっている事は現在の追徴金レベルが赤旗2である事からも明らかで、節水や節電をさらに促すために決まったのが追徴金の引き上げだ。
市場関係者や技術者達は赤旗2の追徴額は現行の約2倍の11・50~12レアルになると予想していたが、Aneelは6・24レアルを9・49レアルへと52%引き上げた。この引き上げ幅は当初言われていた21%を大幅に上回り、物価への影響は避けがたいが、火力発電多用に伴う経費増をカバーしきれない可能性は未だに46%と高く、再調整が行われる可能性も残された。
これは、現在の水危機による影響への評価がさらに厳しくなった事も示しているが、Aneelは現在もなお、電力不足や輪番制採用の可能性を否定している。ただし、工場などの電力大量消費施設にはピーク時を避けて、深夜などの稼働を呼びかけるなどの声明も出されている。
なお、29日は、黄旗も1・343レアルから1・874レアルにと39・5%値上がりした。だが、赤旗1は4・169レアルから3・971レアルにと3・75%値下がりした。新しい追徴金額は7月1日から適用される。
★2021年6月16日《ブラジル》過去91年で最悪の水危機=来年は電気料金5%値上がりか
★2020年12月2日《ブラジル》12月から電気代値上がり=追加料金徴収を突如再開
★2020年5月28日《ブラジル》国家電力庁=電気代の追加料金徴収せず=コロナ禍の影響緩和のため
★2020年12月19日《ブラジル》国家電力庁=全国の送電設備刷新へ=総額734億レアル投資を約束=内外企業55社が入札参加