1日、上院のコロナ禍議会調査委員会(CPI)で、米国の製薬会社「ダヴァティ・メディカル・サプライ」の販売代行として保健省へのワクチン売り込み交渉に携わり、保健省内でのコロナワクチンを介した贈収賄工作を暴露したルイス・パウロ・ドミンゲッティ・ペレイラ氏が証言を行った。6月25日のCPIで「保健省のコバクシン疑惑をボルソナロ大統領が黙認した」と証言したルイス・ミランダ下議が、実はワクチン不正交渉を行っていたとの証言をドミンゲッティ氏が行おうとしたが、ミランダ氏本人とダヴァティ社に即座に否定された。捜査のためにドミンゲッティが携帯電話を取り上げられる事態が生じた。1日付現地サイトが報じている。
6月29日にフォーリャ紙が報じたドミンゲッティ氏の証言「保健省のロジスティック局長のロベルト・ジアス氏がアストラゼネカ社のワクチン1回分につき1ドルの賄賂を請求した」との衝撃告発で彼は一躍注目されるようになり、この日のCPIに召喚されていた。
ドミンゲッティ氏はこの日の証言で、2月25日にブラジリアのショッピングセンターでジアス氏から賄賂を請求された後、保健省に3度出向いたことを認めた。そして、そのときに対応したのは当時の保健省ナンバー2のエウシオ・フランコ氏で、最初に会ったとき、エウシオ氏は交渉内容を知らなかったと証言した。
ドミンゲッティ氏はこの後、「この交渉にルイス・ミランダ氏と(ミランダ氏の兄弟で保健省のロジスティック部所属の)リカルド・ルイス氏が絡んでいる」とし、ダヴァティ社の人物から譲り受けたとする録音を流した。
これに対し、出席していた大統領長男のフラヴィオ上議がミランダ氏の関与を捜査するよう煽ったが、CPI委員は最初からこの録音の内容に懐疑的だった。それは、録音内容に「ワクチン」という言葉が出てこず、録音で言及された「コンプラドール(購買者)」が同氏の兄を指すのかも不明だったためだ。
数10分後、ミランダ氏自身が上院に現れ、その録音が、同氏が昨年10月にダヴァティ社に対し、同氏が米国に所有する自身の企業への医療用手袋の交渉を行った時の録音に編集を加えたものだと説明した。ミランダ氏はドミンゲッティ氏を、「連邦政府が送り込んだトロイの木馬(内通者)」と呼んで批判した。
また、ダヴァティ社も、この録音が「ワクチン交渉のものではない」とし、ミランダ氏の関与を否定する声明を発表した。
ドミンゲッティ氏は、「録音を送ってきた人物を信頼しており、改ざんされたものだとは思わなかった」と弁明したが、ミランダ氏や傍聴席にいた上議たちからは「ドミンゲッティ氏を逮捕しろ」との声もあがった。その結果、ドミンゲッティ氏は携帯電話を没収される処分を受けた。
ドミンゲッティ氏に関しては、昨年末までミナス・ジェライス州で軍警をつとめ、37の犯罪で名前がリストアップされていた人物であること、同氏がダヴァティに正式に雇用されておらず、伯国側からの依頼で業務に関わるようになっていたことが報じられている。
上議たちは、ドミンゲッティ氏が最初の交渉の席に同席したと証言した軍人や企業家も上院に召喚し、対面での証言を行わせることなども求めている。