国立宇宙研究所(Inpe)が1日、法定アマゾンでは6月に2308件の森林火災が起きたと発表したと1、2日付現地紙、サイトが報じた。
Inpeが発表する森林の伐採や火災のデータは2019年以降、連邦政府から疑問視され、不正が行われているとまで言われてきた。だが、所長交代後も、法定アマゾンでの森林伐採や森林火災は増え続けている。
Inpeによると、法定アマゾンでの火災件数は、2007年6月の3519件に次ぐもので、昨年同月の2248件より3%増えた。ここ10年間の平均は1705件で、昨年、今年は多い。
火災増加傾向はセラードやカアチンガでも見られ、セラードでは2020年6月の6443件に次ぐ4181件、カアチンガでは2012年6月の370件に次ぐ354件を記録した。唯一の例外はパンタナルで、昨年同月の3分の1にも満たない98件だった。
6月の法定アマゾンでの火災の66・5%はマット・グロッソ州で発生。以下、パラー州18・4%、ロンドニア州5・7%と続く。先住民保護区でも110件の火災が起きており、その3分の1はマット・グロッソ州のシングー公園内で起きた。
森林火災はカンポス・アマゾニコス国立公園やシャパーダ・マラニェンセのような、国や州の保護地域でも起きている。
オブセルヴァトリオ・ド・クリマのマルシオ・アストリニ事務局長によると、乾季に入った事と森林伐採後に残っていた木や枝が燃料となった事、ボルソナロ大統領が農地開発を擁護発言した影響で焼き畑増加が火災増の原因だという。
また、国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)や生物の多様性保全のためのシコ・メンデス研究所(ICMBio)のような環境監視機関が人員や資金の不足、環境省による権限制限によって機能し難くなり、製材業者や金鉱夫が横行し始めた事も、森林伐採や森林火災の増加を招いたと見ている。
また、アマゾン環境調査研究所(Ipam)やウッドウェル気候調査センターの研究者達は、6月30日に発表した報告書で、ラニーニャ現象による少雨と森林伐採の増加から、7~9月も森林火災が増えると予測。
森林伐採が多い年と少雨の年は森林火災が増えるのに、今年はこの二つが重なっており、法定アマゾン南部を中心とする約5千平方キロに及ぶ地域では特に、火災が多発する可能性があるという。
ボルソナロ大統領は6月29日、農牧業のための焼き畑を120日間禁ずる大統領令を出した。また、その前日には、8月末日までの期限付で3軍の兵士を派遣し、先住民居住地や国の環境保護区、法定アマゾン内の州知事から要請のあった地域での防災、監視活動を行う事も認可した。
ヴェルデ・ブラジルと呼ばれる軍兵士による防災・監視活動は4月末で打ち切られたが、森林伐採や森林火災が新記録を更新し続けており、再派遣となった。軍兵士は国の法定アマゾン審議会の管轄下にあり、IbamaやICMBioの職員も加わった法定アマゾン保護のための統合グループ(Gipam)の支援を得て活動する。
★2021年5月8日《ブラジル》法定アマゾンの伐採面積は新記録=気候サミットでの約束は?=地球の空調機能に赤信号
★2019年10月4日《ブラジル》法定アマゾン=森林火災で子供の入院倍増=SUSの負担150万レ増
★2020年5月23日《ブラジル》法定アマゾンの森林火災増加=撲滅のため、治安部隊を派遣
★2021年2月12日《ブラジル》アマゾン審議会=ヴェルデ作戦から兵士撤退=森林伐採増加が続く中=今後は11市中心に監視継続