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《ブラジル》連邦検察庁がボルソナロ大統領を捜査へ=ワクチン不正黙認疑惑で=最高裁からの圧力に抗えず

ボルソナロ大統領(Marcos Camargo)

 連邦検察庁は2日、ボルソナロ大統領がインド製のコロナワクチン「コバクシン」の不正契約を黙認した疑惑に対し、捜査開始要請を最高裁に提出した。最高裁のローザ・ウェベル判事からの圧力に検察庁が抗えなくなった結果だった。2日付現地サイトが報じている。
 大統領が不正を黙認したとの疑惑は、6月25日の上院のコロナ禍議会調査委員会(CPI)で、ルイス・ミランダ下議(民主党・DEM)と、その兄弟で保健省ロジスティック局輸入担当の責任者のルイス・リカルド氏の証言で注目を浴び、上議たちが最高裁に、大統領が公務員としての責任を放棄して不正を許したと訴えていた。
 ミランダ兄弟が証言で暴露したのは、次の2点。一つは、当初の単価の10倍以上の価格でコバクシン購入契約がされそうになる不正状態だったにもかかわらず、輸出側が作成し、購入価格や数量などの契約内容を記したインボイスに署名するよう、保健省の上司などから異常な圧力がかけられていたこと。
 もう一つは、この不正疑惑に関して同兄弟がボルソナロ大統領に直訴した際、下院の連邦政府リーダーのリカルド・バロス下議(進歩党・PP)が関与していることだと大統領が知っており、「(連警に)調べさせる」と約束したにもかかわらず、実際には捜査の指示を出していなかったことだ。
 ミランダ兄弟は、ボルソナロ氏に対して不正に対処するよう直訴を行った11日後の3月31日に連邦検察庁に出向き、同件に関する報告も行っていた。
 このCPIの3日後の6月28日、CPIのランドルフ・ロドリゲス副委員長をはじめとした3上議が、コバクシン疑惑黙認の件での捜査を最高裁に嘆願した。同件を担当することになったローザ判事は、「きわめて重い」という判断を下し、検察庁に意見書を求めていた。

 検察庁はそれに対し、「CPI終了後にボルソナロ氏を捜査するか否かを決める」という時間稼ぎのような意見書を提出した。だが、ローザ判事はこの意見書を認めず、捜査請求を出すよう強く求めた。
 検察庁のアウグスト・アラス長官はかねてから、ボルソナロ大統領寄りの判断を下すことで知られている。さらに、アラス氏自身が大統領から最高裁判事に推薦される可能性や、検察庁長官再選に向けた思惑もあったため、捜査開始要請を出さないであろうとの見方が強かったが、意外な結果となった。
 ボルソナロ氏はこれまで、この件を究明しようとするCPIを強く攻撃してきたが、ミランダ兄弟と3月20日に会ったことは認め、ミランダ氏が主張する「バロス氏の名前を出した」ことにも反論していない。ミランダ氏は大統領との会話の録音記録を持っていることもほのめかしている。
 連邦政府は、ボルソナロ氏が3月22日に当時のエドゥアルド・パズエロ保健相にコバクシンの不正契約に関する捜査を命じたが、パズエロ氏が「異常なし」との判断を行っていたと発表することで、ボルソナロ氏がミランダ氏の直訴を無視してはいなかったことにしようとした。
 だが、パズエロ氏が3月23日に保健相を辞任していることや、6月22日にミランダ氏が同件について語ったことが報じられたのを受け、ボルソナロ氏が脅すように連警にミランダ氏を捜査させようとしたなどの矛盾点が生じたことも、かえって疑惑を深めてしまう結果になっていた。
 検察庁は2日、パズエロ氏に対しても、ワクチン購入への動きが遅かったことや、効果のない医薬品を含む「早期治療」採用などを理由に、コロナ対策での不作為と失敗の責任を問う訴状を提出している。

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