《ブラジル》大統領は最高裁新判事にメンドンサ氏指名へ=承認のカギを握るセントロン
ボルソナロ大統領がマルコ・アウレーリオ・メロ判事に代わる新たな最高裁判事として、国家総弁護庁(AGU)長官のアンドレ・メンドンサ氏を指名する意向であることが明らかになった。6日付現地サイトが報じている。
今回の最高裁判事の指名はアウレーリオ判事が75歳で定年退職することによって生じるもので、メンドンサ氏の名前はかねてから有力視されていた。ボルソナロ氏はかねてから「今度の判事は筋金入りの福音派になる」と宣言していた。
メンドンサ氏はプレスビテリアーナ・エスペランサ教会の牧師の肩書きも持つ弁護士で、ボルソナロ政権にはAGU長官として19年1月に着任。20年4月にセルジオ・モロ氏が法相を辞任した後、約11カ月にわたって法相をつとめていたが、今年の3月29日にAGU長官に戻っていた。メディアの多くはこの時点で、メンドンサ氏を最高裁判事に指名するための人事異動とすでに報じていた。
メンドンサ氏はボルソナロ大統領に忠実な印象で知られ、今年の4月にはコロナ禍の第2波が全国で猛威を振るい、知事たちが教会に集まってミサすることを禁止する条例を出した際も、集会活動の自由を訴え、最高裁に訴えていた。
最高裁判事としてメンドンサ氏を推薦する意向があることは、ルイス・フクス最高裁長官らも参加して開催された、6月20日の非定例の連邦政府の会議の席で大統領自身が告げていたという。
メンドンサ氏の最高裁判事指名に関しては、アウレーリオ判事も支持の意向を打ち出しており、連邦議会の福音派議員などからの受けもいい。だが、上院のサバチーナ(口頭試問)でメンドンサ氏が承認を受けるには壁も存在する。
それは同氏が、現在、ボルソナロ政権の支持に回っている中道勢力「セントロン」の受けが悪く、早くも水面下での反対運動が行われているためだ。
ボルソナロ大統領の最初の指名で最高裁判事となったカシオ・ヌーネス氏の場合は、同氏がセントロン最大政党の進歩党(PP)に近い人物であったことから大きな異論も起こらず受け入れられた。今回はそうした後押しが見られないことが懸念材料となっている。