ボルソナロ大統領の前夫人の実妹が、「自分の兄弟はボルソナロ氏に求められた額の給与キックバック( いわゆる「ピンはね」行為)を行わなかったために職員を解雇された」などと発言した音声が流出。長男フラヴィオ上議が疑惑をかけられているラシャジーニャ(職員給与ピンはね)を、大統領自身も下議時代に行っていたとの疑惑が急浮上している。5日付現地サイトなどが報じている。
この疑惑は5日、UOLサイトがボルソナロ氏の前夫人アナ・クリスチーナ・ヴァレ氏の実妹アンドレア・シケイラ・ヴァレ氏(50)の発言に関する記事を音声付で報じたことで明るみになった。
この報道によると、アンドレア氏の兄弟アンドレ氏はボルソナロ氏が下議だったときの職員の一人で、月給の中から6千レアルを返却するよう言われていたのに2~3千レアルしか渡していなかったため、「決められた額を払わない」とボルソナロ氏を怒らせ、解雇されたと同音声では語っている。
アンドレ氏は2006~07年に、下議時代のボルソナロ氏の職員をつとめている。
また、アンドレア氏の音声によると、これまではフラヴィオ氏のリオ州議時代の職員をつとめていたファブリシオ・ケイロス氏がラシャジーニャの支払先だと思われていた。だが、ラシャジーニャの支払いを受けていた人物は同氏だけではなく、アンドレア氏の伯父でもある退役軍人のギリェルメ・ドス・サントス・ウジソン氏の役割も大きかったという。
ウジソン氏はボルソナロ氏が陸軍学校に通っていた1970年代に知り合っており、それ以来、友人関係が続いているという。アンドレア氏の場合は、自身の給料をケイロス氏にではなく、ウジソン氏に支払っていたという。
アンドレア氏自身も、ボルソナロ一家の職員を長く務めていた。1998年から2006年までは、ブラジリアに住んだことがなかったにもかかわらず、下議時代のボルソナロ氏の職員として登録され、06年から08年は次男カルロス・リオ市議、08年から18年はリオ州議だったフラヴィオの職員として登録されていた。アンドレア氏はフラヴィオ氏の職員時代、総額67万4900レアルの給与のうち、66万3600レアルを引き落としていた記録が残っている。
アンドレ氏も、01~05年と06年2~11月にカルロス氏の職員もつとめていた。
この疑惑は、これまでフラヴィオ氏のスキャンダルと目されていたラシャジーニャ疑惑に父ボルソナロ氏も関与していたことを裏付けるものとして即座に注目を集めた。
また、3月15日付UOLサイトは、下議時代のボルソナロ氏の職員たちが55万1千レアルを現金で引き出していたことや、カルロス氏の職員たち4人が57万レアルを現金で引き落としていたことも報じている。
一連の報道を受け、上院のコロナ禍の議会調査委員会(CPI)の委員でもあるアレッサンドロ・ヴィエイラ、レナン・カリェイロス両上議は早速、1991年から2018年の下議時代の不正行為に関する「ラシャジーニャCPI」の開設を求め、1日で10人の上議の署名を集めた。上院議員の3分の1にあたる27人の署名が集まればCPI開設が可能だが、ヴィエイラ上議は週末までに必要な数を集められると見ている。
6日にはさらに、アナ・クリスチーナ前夫人が、ボルソナロ氏と結婚していた1997年から2008年までの間に14軒もの不動産を全て現金で購買していたとの疑惑も浮上している。アナ・クリスチーナ氏に関しても、アンドレア氏名義の口座に残っていた現金5万4千レアルを引き出し、自分のものとしたことが3月に報じられていた。アナ・クリスチーナ氏の家族、親族は計18人が、ボルソナロ一家の職員として働いた経歴がある。