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「ワクチンの選り好み」についての考察

 

新たな措置で選り好みによる接種拒否が減ったと報じる5日付CNNブラジルの記事の一部

新たな措置で選り好みによる接種拒否が減ったと報じる5日付CNNブラジルの記事の一部

1日以降、サンパウロ大都市圏サンベルナルド・ド・カンポ市など、新型コロナの予防接種会場でワクチンの種類を聞いて接種を拒む人を、18歳以上の列の最後尾に置き始める自治体が出てきた。
 しかも、自分の意思で接種を拒否した事や接種を待つ間に感染しても責任は本人にある事、集中治療室の空きがなくて入院できなくても文句を言わない事などを記した文書への署名も必要だ。サンベルナルド市では、6月30日は222件起きた接種拒否が1日は20件に減ったという。
 ワクチンを選びたがる人は、実態を知らない、またはまだ追い詰められておらず、コロナ感染やコロナで死ぬ事への恐怖感や実感が少ないのだろうとコラム子には想像される。
 感染した人の苦しみや遺族の悲しみなどを身近に知る人は、自分や近親者が苦しみ、悲しむのを避ける意味でも、ワクチンの種類より接種を受ける事を優先するようにコラム子には思われるからだ。

 接種を拒否して後回しにされ、その間に感染しても自己責任であると認める書類に署名を求められても、なお接種を拒否した人は少数だった事は、選り好みが何を意味するかを考えていなかった証拠と思える。
 予防接種の際、副反応を恐れたりして接種を受けられない、または受けたがらない人は昔からいる。だが、他の病気の予防接種は製造会社なども知らずに受けている事を考えれば、複数のワクチンの中から選ぶ行為は普通の事ではない。
 また、変異株出現で医療崩壊も起きたアマゾナス州では、優先的にワクチンが配布された事で他州以上のペースで感染者や死者の増加が鈍っており、6日には昨年4月2日以来の死者0を記録した。これは、少しでも早く接種を進めた恩恵だ。
 ワクチン接種者が1人いると家族全体の感染率が減るという研究もあるし、地域の接種率が高いと未接種者の感染率も減る。選り好みで接種を拒否する前に、予防接種は自分の命だけでなく他者の命も守る事、ワクチン不足や体質などで接種を受けたくても受けられない人がいる事などを、コラム子ならまず考える。皆さんはどうですか?(み)