上院のコロナ禍議会調査委員会(CPI)が1日に行った軍警ルイス・パウロ・ドミンゲッティ氏の証言の際に押収した、注目の携帯電話の通話内容が6日に公表された。それによると、同氏がブラジルで販売員を務める米国ダヴァティ社が連邦政府とアストラゼネカ・ワクチンの不正交渉をしていたことや、週末に波紋を呼んだ福音派牧師がからむ非政府団体による不正なワクチン購買交渉のことをボルソナロ大統領も知っていたという疑惑が次々と浮上している。6日付現地サイトなどが報じている。
ドミンゲッティ氏は先月末、「ダヴァティ社とのワクチン契約の際に保健省でロジスティックを担当するロベルト・ジアス氏がワクチン1回分につき1ドルの賄賂を請求した」と訴えており、CPIにもその件に関する証言を行いに来たはずだった。
だが、ボルソナロ大統領のコバクシン疑惑を訴えたルイス・ミランダ下議の不正疑惑を唱えるなど、脱線した供述内容から怪しまれ、携帯電話の押収処分を受けていた。その携帯の通話記録が6日に一斉に公表された。
まず2月6日、8日にロムアウドという軍警大佐と行った会話では、「連邦政府がワクチン一回分につき35ドルという水増し価格を要求してきた」とドミンゲッティ氏が語っている。
さらに、2月10日にオディロンなる人物と行った会話では、「300万回分以上の購入契約となる見込みだから、コミッションはワクチン1回分につき0・25ドルなる」と、ワクチン販売に伴う報酬についてほのめかしている。同氏が暴露した、ジアス氏から1回につき1ドルの賄賂を要求されたのは2月25日だ。
ドミンゲッティ氏とオディロン氏の会話は2月20日にも行われており、オディロン氏がドミンゲッティ氏に、「ペンを握っているのはジアス氏で、パズエロ氏は従うだけだ」と話しかけている。
3月に入ると、1日に保健省が後ろ盾となってダヴァティ社とアストラゼネカワクチンの過払い契約を行った非政府団体「人権問題全国事務局(Senah)」の話題が中心となる。ダヴァティ社委託販売員のドミンゲッティ氏が3月4日にSenah代表のアミウトン・ゴメス牧師を伴って保健省に赴き、会議を行ったことはすでに報じられている。
3月9日、ドミンゲッティ氏は上司のクリスチアーノ・カルヴァーリョ氏との会話で「ボルソナロ政権(大統領府)からワクチンの状況を聞いた」と語っている。
ドミンゲッティ氏は同月16日も、レナト氏という人物との会話で再度大統領の名前を出しており、「アミウトン牧師が大統領と直接話した。大統領は全て買うと言ってくれている」と発言している。
契約交渉の成功の見込みからか、ドミンゲッティ氏が3月15日に行った友人と思しき人物との会話で、「これで貧乏生活ともおさらばだ」なとど語っていることも注目されている。
3月20日に米国メリーランド州で起業した「ゲーラ軍曹」なるリオのミリシアと同氏が会話を行っていたことや、同月31日に大統領と親しいHAVAN社主ルシアノ・ハン氏とワクチン交渉を行っていたことも明らかになった。