人気歌手で作曲家、プロデューサーのDJイヴィスが、元夫人に行っていた家庭内暴力の実態を撮影した録画が暴露され、社会問題化した。共演アーティストからの絶縁や、ヒット曲を流すことを禁止する動きなどが相次ぐ騒ぎとなっている。
事の発端は11日、イヴィスの元妻パメラさんが自身のインスタグラムに、セアラー州フォルタレーザの自宅内でこれまでにイヴィスから受けた暴力の数々を映した映像を公開したことにある。そこではイヴィスが、パメラさんに平手打ちを浴びせたり、拳で殴るだけにとどまらず、後ろを向いたところに殴りかかったり、床に叩きつける、両手でソファに押し倒す、さらに家庭内労働者の女性が生後9カ月の娘の世話をしている最中に、その女性のすぐそばにいたパメラさんを殴るなどしていた。
これに関して同日、イヴィス本人がネットを通じ釈明を行った。だが、彼自身が暴力の事実を認めながらも、悪びれた様子も見せず、「こういうものを暴露されて、自分も被害者だ」と居直ったことで、事態がさらに悪化した。
イヴィスはここ数年、モダン・アレンジされて若返った北東部の音楽「フォフォー」の作曲家、プロデューサーとして、若者の間で人気爆発中で、最近では彼自身も歌手として歌うようになっていた。フォフォーのヒット曲の約20%が彼の関与した曲だという統計もある。
現在のブラジルのヒット曲の指標と目されているストリーミング・サービス「スポティファイ」のチャートでも、この映像暴露まで、4位につけていた「ヴォルタ・べべ、ヴォルタ・ネネン」をはじめ、上位200位に6曲が入る人気ぶりだったが、発覚後はすべて、順位を下げている。
また、暴露映像発覚後はイヴィスと共演していた歌手たちやレコード会社からの絶縁宣言が相次ぎ、スポティファイやもうひとつのストリーミング・サーヴィス「ディーザー」は、彼の曲の配信の制限措置をとっている。
ブラジルは2020年に、約10万5千件の男性による女性への暴力被害が報告されている。昨年中は新型コロナによるパンデミックの影響が指摘されているが、北東部はかねてから、同種の問題が頻繁に起きている。
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★2018年8月8日《サンパウロ市》家庭内暴力被害者に職斡旋=経済的な自立を支援するため